暗号資産(仮想通貨)のビットコインは一時9万2,000ドル台まで下落。昨年12月31日につけた終値9万3,381ドルを割り込んだため、今年の上昇分を帳消しにした形だ。なお昨年末は暗号資産に好意的な姿勢を示すトランプ氏の大統領選挙勝利を受けて、金融市場の中でもとりわけビットコイン価格は大きく上昇していた。
現時点(日本時間12時時点)では9万5,000ドル台を推移しており、直近安値更新から少し値を戻すも依然として上値が重たい動きとなっている。

ビットコインは10月6日に史上最高値(12万6,251ドル)を付けるなど好調を維持していたが、10月10日にトランプ米大統領が中国に対する追加関税発言をしたことが発端となり、世界的な市場の混乱に巻き込まれる形で下降トレンドに転換。以降は米政府機関の封鎖問題や12月の利下げ問題が押し下げる形でジリジリと下落が続いている。
市場全体はリスクオフの動きが根強く、年末に向けた大口トレーダーのポジション調整も下落圧力となっている可能性がある。加えて、ファンダメンタルズにおいても12月の利下げに関するFRB高官の意見が対立するなど、政府機関封鎖に端を発した市場の不安感が封鎖解除した今でも後を引いている。
トレーダーは今後の経済指標や要人発言に注意を払いながら、利下げの可否によっては9万ドル台割れもあり得ると考えて取引に臨んでいくべきだろう。
利下げ判断に不透明感、FRB高官の意見割れが続く
12月のFOMCに向けてFRB(米連邦準備制度理事会)の意見が割れており、どちらに転ぶか分からない状況には市場も警戒感を示している。
14日、米カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は「追加利下げが労働市場の亀裂を修復する効果は限定的だろう。こうした緊張は、テクノロジーや移民政策の構造的変化に起因する可能性が高い」と発言。続けて「しかしながら、2%の物価目標へのコミットメントが一段と疑問視される中で利下げすれば、インフレに長期的な影響を与える可能性がある」と、利下げに反対票を投じた10月のFOMCから変わらぬ主張を示した。
さらに米ダラス連銀のローガン総裁も同日、「12月の会合を見据えると、インフレ率が予想より速いペースで低下している、あるいは労働市場で見られた緩やかな冷え込み以上のものが生じているという説得力のある証拠が得られない限り、追加利下げを支持するのは難しいだろう」と述べている。
一方、FRBのミラン理事は14日、「(9月のFOMC以降に入手された経済指標はすべてが)ハト派的な方向に傾いている」と、経済指標が利下げの根拠を強めているとの考えを示しており、遅れている経済指標の発表も影響してか、FRB高官の意見が割れており、利下げ実施の見通しが立たないのが現状だ。
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