ビットコイン・アルトコインは引き続き上値の重い展開。国際情勢の緊張が続く中、投資家は慎重な姿勢を保っている。ビットコインはサポートライン付近で底堅く推移しているが、アルトコイン市場は資金流入の減速という背景もあり、下目線が優勢だ。
ビットコインはサポート攻防続く、方向感探る展開
ビットコインは10万7,000ドル付近でのサポートをめぐる攻防が継続。何度かラインを下抜ける動きもあったが、その度に下ヒゲをつけて反発しており、この価格帯に対する意識の強さがうかがえる。約2週間にわたり上値を抑えていたダウントレンドラインも迫っており、価格がどちらかにブレイクした際は、大きなボラティリティを伴う可能性がある。

ビットコイン現物ETFは21日、4営業日ぶりの大幅な流入を記録したが、22日は再び1億140万ドル(約154億6,000万円)の純流出に転じており、大口投資家の慎重な姿勢は継続している模様。

「上値は重いがサポート付近での買い圧は強い」という状況から、上下どちらに動くにしてもそれなりに大きな材料が必要となるだろう。
アルト下目線優勢、ビットコインドミナンス上昇で資金流入減速
イーサリアムは3,850ドル付近のサポートライン(オレンジ線で描画)を一時ブレイクしたが、過去に上値を抑えていたダウントレンドライン(黄色線で描画)がサポートとなり反発。再び3,850ドルを試す展開に。

清算ヒートマップを見ても、3,850ドル~3,950ドル付近にかけて断続的にショートポジションのクラスターが形成されており、この価格帯が強く意識されているのが確認できる。一方ロングポジションのクラスターはほとんど見られないことから、現在は下目線が多数を占めていると分析される。

ビットコインドミナンスは依然として上昇基調で、アルトコインへの資金流入減速が確認できる。

この状況から、アルトコイン全般において上昇圧力が限定的な展開が予想されるが、仮にある程度の勢いを伴って3,850ドルの抵抗をブレイクできれば、ショートポジションのロスカットを巻き込んだ急騰も期待できるだろう。
地政学リスク警戒で値動き慎重、CPI発表待ちの展開
日本時間22日、ウクライナ・ロシア間の紛争終結のために予定されていたアメリカのドナルド・トランプ大統領とロシアのプーチン大統領による会談のキャンセルが報じられた。
さらにトランプ大統領は、ウクライナとの戦争の即時停戦に同意するようモスクワに求めるとともに、ロシアの2大石油会社に対する制裁を発動。ロシアがどう反応するか、市場からの注目が集まっている。
また米中摩擦においても、トランプ大統領と中国の習近平国家主席による会談が実現するかどうかも不透明な状況。さらに、トランプ大統領が中国に対し「重要なソフトウェアの輸出制限を検討する」と発表したことが投資家心理を圧迫し、リスク市場への資金流入を妨げている。
とはいえ、予想外のポジティブなニュースにより相場が急転する展開も考えられるため、ロング・ショートともにエントリーしにくい状況だ。
国際情勢に大きな動きがなければ、今後の展開は24日発表予定の消費者物価指数(CPI)に委ねられる。インフレの鈍化が確認されれば、利下げ期待が高まりリスク市場の活性化につながるだろう。逆にインフレの加速が確認された場合、地政学リスクへの懸念と利下げ観測後退が重なることで悲観ムードが強まり、大きな価格変動が発生する展開も考えられる。
ビットコインは、サポート付近での比較的強い買い圧力が確認されているが、アルトコインは資金流入が限定されていることもあり、下目線優位な展開が続きそうだ。とはいえ国際情勢の展開次第で相場が急変する可能性もあるので、損切設定・資金管理の徹底など、慎重なトレードが求められる局面だ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=152.48円)