ビットコイン市場センチメント冷却、先物・ETF需要が大幅減速──グラスノードが「脆弱な中立」警告

水澤 誉往
13 Min Read
画像はFreepikのライセンス許諾により使用

オンチェーン分析企業Glassnode(グラスノード)は2日の週次レポートで、ビットコインが112,000ドル付近(執筆時点では110,500ドル付近)で104,000〜116,000ドルのレンジ内での調整を継続していると分析した。8月中旬の史上最高値更新後、投資家による「押し目買い」が確認される一方、短期保有者の収益性やETF資金流入の減速など、市場センチメントの冷却を示すデータが複数確認されている。

UTXO価格分布で確認される「エアギャップ」の埋戻し

8月13日時点と現在のUTXO実現価格分布(URPD)を比較すると、投資家が108,000〜116,000ドルの「エアギャップ」への押し戻しを活用して積極的に蓄積していることが判明。この範囲での継続的な蓄積は明確な「押し目買い」反応を反映しており、長期的には建設的だが、短中期的なさらなる調整リスクを排除するものではないとグラスノードは分析している。

UTXO Realized Price Distribution
出典:glassnode

3.5ヶ月の陶酔期終了、調整局面へ移行

8月中旬の史上最高値更新は、95%の供給が利益圏にある「陶酔的局面」だったが、8月19日に0.95分位コストベースを下回ったことで約3.5ヶ月の陶酔期が終了。現在価格は0.85〜0.95分位コストベース(104,100〜114,300ドル)の間で推移しており、歴史的にこのゾーンは陶酔的ピーク後の調整回廊として機能してきた。

104,100ドルを下回れば過去のATH後疲弊局面の再現、114,300ドルを上回れば需要回復とトレンド制御権の奪還を示唆するとされる。

Risk Indicator Supply Quantiles
出典:glassnode

短期保有者の収益性は回復も依然脆弱

108,000ドルへの下落時、短期保有者の利益圏供給比率は90%超から42%まで急落したが、現在は60%まで回復。これは中立的な水準だが依然脆弱で、114,000〜116,000ドルの持続的回復により75%超の短期保有者が利益圏に戻ることで、新たな需要を呼び込む信頼感が必要とされる。

Short-term Holders Supply in Profit
出典:glassnode

オフチェーン指標も需要冷却を示唆

先物ファンディングレートは現在時間当たり36万6,000ドルで中立圏にあるが、サイクル中の強気・弱気局面の境界線である30万ドルを下回れば、先物市場全体での需要減退が確認される。

ETF資金流入も大幅に減速。ビットコインETFの14日平均純流入は4月以降の日次3,000BTC超から現在540BTCまで低下。イーサリアムETFも5〜8月の日次5万6,000〜8万5,000ETHから現在1万6,600ETHに急減している。

Bitcoin ETF Flows
出典:glassnode
Ethereum ETF Flows
出典:glassnode

ビットコインとイーサリアムの需要構造の違い

興味深いのは、ビットコインETFへの資金流入がCME先物建玉変化を大幅に上回っており、主に方向性のあるスポット需要を反映している点。一方、イーサリアムでは先物建玉の隔週変化がETF累積流入の50%超に達しており、キャッシュアンドキャリー戦略と方向性ベットの混合を示唆している。

出典:glassnode
出典:glassnode

今後の展望

グラスノードは「ビットコインは104,000〜116,000ドルレンジでの調整継続中で、116,000ドル上抜けが上昇トレンド復活、104,000ドル下抜けが93,000〜95,000ドルへの下落リスクを示唆する」と分析。オンチェーン・オフチェーン両指標が示す需要冷却により、市場は「脆弱な中立状態」にあるとしている。

関連:ビットコイン、113,500ドルを超えられず反落──売り目線継続の展開【仮想通貨チャート分析】BTC、ETH、XRP、SOL
関連:ビットコイン短期投資家の投げ売りは買い場?下落局面で注目されるクジラ動向と流動性ゾーン

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

JinaCoinメルマガ開始
Share This Article
Follow:
株式会社jaybe 代表取締役。香川県三豊市出身。2010年4月、株式会社一誠社入社。2011年よりFX取引を開始。2016年3月30日、bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏が出演する動画で仮想通貨に興味を持ち、 1BTC価格47,180円で0.02BTCを購入したことが仮想通貨投資の始まり。2017年11月、仮想通貨投資で身に付けた知識・経験を活かし、自身初のブログ「次男坊の仮想通貨な日」を立ち上げ。2018年4月、JinaCoinの前身である「ジナキャッシュ」開設。2019年10月、収益の安定化に成功し、株式会社一誠社を退職、個人事業主として独立。2020年6月、事業拡大に伴い、株式会社jaybe(法人番号:7470001018079)を創業。 2023年、メディアの名称を「JinaCoin」に変更。月間15万PVを超える仮想通貨情報メディアに成長させる。現在は仮想通貨投資を行う傍ら、仮想通貨の普及活動やマーケットリサーチ等を行なっている。2024年6月、一般社団法人 日本クリプトコイン協会の「暗号通貨認定アドバイザー」資格を取得。仮想通貨投資活動:現物保有・デリバティブ取引・DeFi運用・エアドロップ活動。好きな銘柄:ビットコイン。著書:海外FXのはじめ方完全ガイド。WEB取材:凄腕FXトレーダーへインタビュ ー!vol.8=TitanFX。趣味:投資全般・SEO・読書
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA

厳選・注目記事

YouTube

あなたのプロジェクトを広めませんか?

JinaCoinでは、プレスリリースや記事広告、バナー広告など複数の広告を提供しています。詳しい内容は下記お問い合わせページよりご連絡ください。

その他のニュース

カルダノ創設者、リップルCEOとの対話を公表──過去の対立を超え協力へ

Cardano(カルダノ)創設者のチャールズ・ホスキンソン氏が1日に配信したライブストリーミングで、「Ripple(リップル)」のCEOであるブラッド・ガーリングハウス氏との対話について言及し、暗号通…