オンチェーン分析企業Glassnode(グラスノード)は2日の週次レポートで、ビットコインが112,000ドル付近(執筆時点では110,500ドル付近)で104,000〜116,000ドルのレンジ内での調整を継続していると分析した。8月中旬の史上最高値更新後、投資家による「押し目買い」が確認される一方、短期保有者の収益性やETF資金流入の減速など、市場センチメントの冷却を示すデータが複数確認されている。
UTXO価格分布で確認される「エアギャップ」の埋戻し
8月13日時点と現在のUTXO実現価格分布(URPD)を比較すると、投資家が108,000〜116,000ドルの「エアギャップ」への押し戻しを活用して積極的に蓄積していることが判明。この範囲での継続的な蓄積は明確な「押し目買い」反応を反映しており、長期的には建設的だが、短中期的なさらなる調整リスクを排除するものではないとグラスノードは分析している。

3.5ヶ月の陶酔期終了、調整局面へ移行
8月中旬の史上最高値更新は、95%の供給が利益圏にある「陶酔的局面」だったが、8月19日に0.95分位コストベースを下回ったことで約3.5ヶ月の陶酔期が終了。現在価格は0.85〜0.95分位コストベース(104,100〜114,300ドル)の間で推移しており、歴史的にこのゾーンは陶酔的ピーク後の調整回廊として機能してきた。
104,100ドルを下回れば過去のATH後疲弊局面の再現、114,300ドルを上回れば需要回復とトレンド制御権の奪還を示唆するとされる。

短期保有者の収益性は回復も依然脆弱
108,000ドルへの下落時、短期保有者の利益圏供給比率は90%超から42%まで急落したが、現在は60%まで回復。これは中立的な水準だが依然脆弱で、114,000〜116,000ドルの持続的回復により75%超の短期保有者が利益圏に戻ることで、新たな需要を呼び込む信頼感が必要とされる。

オフチェーン指標も需要冷却を示唆
先物ファンディングレートは現在時間当たり36万6,000ドルで中立圏にあるが、サイクル中の強気・弱気局面の境界線である30万ドルを下回れば、先物市場全体での需要減退が確認される。
ETF資金流入も大幅に減速。ビットコインETFの14日平均純流入は4月以降の日次3,000BTC超から現在540BTCまで低下。イーサリアムETFも5〜8月の日次5万6,000〜8万5,000ETHから現在1万6,600ETHに急減している。


ビットコインとイーサリアムの需要構造の違い
興味深いのは、ビットコインETFへの資金流入がCME先物建玉変化を大幅に上回っており、主に方向性のあるスポット需要を反映している点。一方、イーサリアムでは先物建玉の隔週変化がETF累積流入の50%超に達しており、キャッシュアンドキャリー戦略と方向性ベットの混合を示唆している。


今後の展望
グラスノードは「ビットコインは104,000〜116,000ドルレンジでの調整継続中で、116,000ドル上抜けが上昇トレンド復活、104,000ドル下抜けが93,000〜95,000ドルへの下落リスクを示唆する」と分析。オンチェーン・オフチェーン両指標が示す需要冷却により、市場は「脆弱な中立状態」にあるとしている。
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