ビットコイン(BTC)が5日、過去最高値を更新した。大手暗号資産(仮想通貨)取引所「Binance(バイナンス)」では一時124,851ドルを記録し、今年8月に付けた最高値をわずかに上回った。米国の政治的不安定さや通貨価値の下落懸念を背景に、資金が暗号資産市場へ再び流れ込みつつある。上場投資信託(ETF)を通じた機関投資家の参入も上昇を後押ししたとみられる。

米政府機関の一部閉鎖でドルへの不信感が拡大、ETF資金流入が価格を押し上げる
今回の上昇の背景には、米国の政府機関の一部閉鎖による政治的不透明感がある。財政運営への信頼低下が広がるなか、投資家の間で「法定通貨離れ」が進み、ドル資産からビットコインや金などドル資産からビットコインや金など、法定通貨に代わる価値保存手段への資金移動が目立った。
加えて、米国で上場している現物型ビットコインETFへの資金流入が急増している。直近1週間で約32億4,000万ドル(約4,800億円)が流入しており、ETF市場の拡大が価格上昇の一因になったとの見方が強い。これにより、現物市場での買い圧力が強まり、価格を押し上げる構造が形成された。ETF市場の拡大は、ビットコインへのアクセスを容易にし、これまで市場に参入しづらかった投資家層を呼び込んでいる。

株式市場の動きも追い風となった。米国株が堅調に推移するなかで、リスク資産全体への投資意欲が高まり、ビットコインもその流れに乗った格好だ。テクノロジー株やAI関連銘柄と同様、ビットコインが分散投資の一部として再評価されている側面もある。こうした環境が、短期的な投機ではない持続的な上昇を支えているとみられる。
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策も、今後の価格動向を左右する重要な要素である。利下げ観測が強まればドル安・ビットコイン高の流れが加速する一方、インフレ抑制を優先するタカ派姿勢に転じれば、相場の重石となる可能性がある。金利動向は今後数カ月にわたり市場の注目点となるだろう。
今回の史上最高値更新は、ビットコインが投機対象から、広く投資資産として受け入れられつつある現実を象徴している。通貨不安、ETF普及、マクロ経済要因の三つが重なり合うなかで、暗号資産市場は新たな局面を迎えている。今後の相場動向は、政策判断と投資家心理の変化によって大きく左右される見通しである。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.4円)