中央集権型取引所の透明性や信頼性に疑問を抱く声が高まる中で、ユーザー主権を前提とした次世代の分散型取引所(DEX)が注目を集めている。
その中でも、2022年に誕生し、月間総取引量100億ドルを突破した「ApeX Protocol」は、ZK Rollup技術やセルフカストディ設計、さらにはマルチチェーン対応といった複数の革新を備え、他のDEXとは一線を画す存在だ。
今回JinaCoinでは、ApeXチームに対して独占インタビューを実施。設立の背景や技術的強み、トークノミクスの戦略から、AIを活用した次世代プロダクト「Alpha Radar」構想、さらには規制環境を見据えた将来展望まで、その思想と実装の核心に迫った。

インタビュイー:Daveさん
ApeX Protocol 事業開発マネージャー(日本市場担当)
2024年6月よりApeX Protocolに参画。日本市場を中心に、パートナーシップの構築、マーケティング戦略の策定・実行、ユーザーコミュニティの拡大など、事業全体の成長に貢献しています。
ApeX Protocolの設立経緯とビジョンについて
JinaCoin:ApeX Protocolは2022年に設立され、現在月間の総取引量$10Bを達成されていますが、分散型永続契約取引プラットフォームを立ち上げた背景と、DEX業界におけるApeXの独自性について教えてください。
Daveさん:ApeX Protocolは2022年に設立され、「ユーザーが自ら資産を管理し、安心して取引できる」分散型取引所(DEX)の構築を目指しています。
zkLinkおよびStarkWareのゼロ知識証明エンジンを活用することで、中央集権型取引所に匹敵する使いやすさと高い取引速度を実現。さらに、ノンカストディの資産管理、KYC不要、透明なインセンティブ設計といった特徴により、Web3時代に最適化された理想的な取引体験を提供しています。
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ApeX Omniのマルチチェーン戦略について
JinaCoin:ApeX Omniはマルチチェーン流動性集約プラットフォームとして、Ethereum、Arbitrum、BNB Chain、Polygon、Optimism、Mantleなどをサポートしていますが、どのような基準でチェーンを選択し、各チェーンでのユーザー体験をどのように最適化していますか?
Daveさん:ApeX Omniは、複数のチェーンに対応したシームレスな入出金体験の提供を目指しています。ユーザー数、TVL(総ロック資産)、取引の活発度などを総合的に評価し、将来的な成長が見込まれるチェーンを優先的にサポートしています。
さらに、どのチェーンにおいても一貫したUI/UXを実現することで、ユーザーはチェーンの違いを意識することなく、スムーズに取引を行うことができます。
永続契約(Perpetual Contracts)とレバレッジ取引の技術革新
JinaCoin:「ApeX Protocolは最大100倍レバレッジの永続契約取引を提供していますが、従来のCEX(中央集権型取引所)と比較して、技術的にどのような優位性を持っているのでしょうか?」
Daveさん:ApeXは中央集権型取引所とは異なり、ユーザー自身が資産を管理する「セルフカストディ」方式を採用しています。
仮にプラットフォーム運営が停止した場合でも、ユーザーは強制出金機能を通じて資金を引き出すことができ、資産の自由な出し入れが常に保証されています。
さらに、ZK Rollup技術を活用した透明なオンチェーン決済により、低遅延・高スループットを両立。CEXに匹敵する板取引型の契約取引体験を提供しています。
$APEXトークンの新しいトケノミクスモデルについて
JinaCoin:2024年10月に$APEXトークンの総供給量を10億から5億に半減されましたが、この戦略的な判断の背景と、デフレーショナルモデルが長期的にプロトコルとユーザーにどのような価値をもたらすのでしょうか?
Daveさん:$APEXの総供給量を削減することは、その希少性と市場価値を高めるための戦略的判断です。
ApeXでは、ステーキングによる買い戻しメカニズムや、VIP階層別の手数料優遇制度を通じて、トークン価値の継続的な向上に取り組んでいます。
これらの取り組みは、長期的に見れば健全かつ持続可能なエコシステムの構築を促進し、最終的にはトークン保有者への還元強化にもつながると考えています。
HyperliquidやdYdXなどの競合との差別化戦略
JinaCoin:永続契約のDEX市場はHyperliquidやdYdXをはじめ新興DEXも次々と登場しており、多くの競合がいる中で、ApeX Protocolはどのような差別化戦略を取っていますか?特にデリバティブ取引に特化することの戦略的意義について教えてください。
Daveさん:ApeXは「資産の完全な自己管理」「高利回り」「低コスト」「ルールの透明性」を中核に据えた分散型取引プラットフォームの構築を進めています。
dYdXやHyperliquidといった他のDEXと比較しても、ApeXはXP報酬メカニズムやVault資産運用プロダクト、USDT建てのマルチチェーン現物取引といった多様な機能を備えており、より包括的なDeFi環境を提供しているのが特徴です。
また、Hyperliquidとは異なり、ApeXはZK Rollupベースのソリューションを採用しており、取引の透明性を確保しつつもユーザーのポジション情報が公開されない仕組みになっています。これにより、狙い撃ちなどのリスクが抑えられ、より安全かつプライバシー重視の取引環境を実現しています。
ガス手数料ゼロとセルフカストディの両立について
JinaCoin:ガス手数料ゼロという利便性を保ちつつ、セルフカストディ環境を維持している技術的な仕組みについて詳しく教えてください。
Daveさん:ApeXでは、セルフカストディ型のウォレットを用いながらも、Gas手数料ゼロで快適に取引ができる環境を実現しています。
これは、「資産主権」と「取引効率」の両立を可能にする、以下のような設計に支えられています:
・取引のマッチングはオフチェーンで高速処理
・決済はオンチェーンで行われ、ZK Rollupによって整合性を保証
・Gas手数料はユーザー負担ではなく、ApeXが集約して負担
・アカウントアブストラクションによるUX最適化
・独自開発のLayer2基盤「ApeX Infra」により、取引コストを最小限に抑制
これにより、ユーザーは資産を自分で管理しながらも、CEXと同等のスムーズで安心な取引体験を享受できます。
ApeX Socialとコミュニティインセンティブについて
JinaCoin:ApeX Socialでは報酬ハブとしてポイントシステムやミステリーボックス、さらにはiPhoneやLamborghiniまでの賞品を提供していますが、コミュニティエンゲージメント戦略の狙いと効果はいかがですか?
Daveさん:ApeX Socialは、オンチェーン・オフチェーンでのユーザー貢献をポイントやMystery Box、景品などを通じて可視化・報酬化する仕組みです。
特に、X(旧Twitter)での自然な拡散や、新規ユーザーの継続的な参加を後押しする効果が高く、「自発的なコミュニティ拡大」を支える大きな柱になっています。
Web3らしい参加型の設計で、エコシステム全体の活性化に貢献しています。
機関投資家からの資金調達と今後の成長戦略
JinaCoin:Dragonfly Capital、Jump Trading、Tiger Globalなどの著名な投資家から資金調達を受けていますが、これらの戦略的パートナーシップがプロトコルの成長にどのような影響を与えているのでしょうか?
Daveさん:ApeXは、DragonflyやJump、Tiger Globalといった戦略的パートナーから支援を受けており、グローバルなネットワークや専門的な知見、資金面での基盤が大きく強化されています。
こうした支援を背景に、プロダクトの継続的な最適化と市場拡大を実現しており、特に機関投資家にも信頼される、透明性と堅牢性を兼ね備えたDEXとしてのポジションを築いています。
AI機能「Alpha Radar」の導入について
JinaCoin:2025年5月にリリースしたApeX AI「Alpha Radar」について、リアルタイムAIインサイトを活用したトレーディング支援機能の詳細と、DEX業界でのAI活用の将来展望を教えてください。
Daveさん:Alpha Radarは、ApeXが正式にリリースしたAIツールで、X(旧Twitter)などのソーシャルメディア上でのトレンドやKOLによる言及内容をリアルタイムで解析し、注目度の高いトークンを一覧で可視化する機能を備えています。
チェーン別や話題性の高低によるフィルタリングも可能で、効率的に取引機会を発見できる点が特徴です。
今後は、通知機能や自動売買との連携といった新機能の拡張も予定しており、DEX領域におけるAI活用のさらなる進展を目指しています。
規制環境の変化とDeFiの未来について
JinaCoin:分散型プロトコルとして、ApeXは今後予想される規制環境の変化にどう適応していくのでしょうか?また、ApeXから見たDeFi業界の今後5年間の成長見通しをお聞かせください。
Daveさん:Web3業界において、規制の存在はまさに「諸刃の剣」だと私たちは捉えています。中央集権型のプレイヤーにとっては大きな負担になる一方で、分散型プロトコルにとってはむしろ競争優位を築くチャンスでもあります。
ApeXでは、セルフカストディや許可不要な設計、柔軟なアクセス手段を通じて、ユーザーの主権とプライバシーを守りつつ、今後より厳格化が予想される規制環境下でも、真に分散化された取引体験を提供できるよう取り組んでいます。
今後5年でDeFiはAIやL2技術との融合を通じ、より多様かつ実用的なユースケースへと広がっていくと考えています。その中でApeXは、製品力とガバナンス力の両軸で進化を続け、次世代の分散型エコシステムを牽引する存在を目指してまいります。
JinaCoin:本日は貴重なお話ありがとうございました。
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