売却圧力か戦略的運用か、市場の注目が集まる
オンチェーンデータ分析企業「Glassnode(グラスノード)」は8日、5年以上にわたって一切動きがなかった80,000BTC(ビットコイン)がオンチェーン上で移動を見せたことを公式Xで報告した。今回移動されたビットコインの時価は約86億ドル(約1兆2,630億円)と巨額であることから、市場への影響が注目されている。
グラスノードによれば、今回の80,000BTCの移動はオンチェーン履歴において過去3番目に大きな規模にあたるという。同社が共有した「BTC: Revived Supply Last Active 5+ Years」によると、これまでの大規模な移動事例としては、2022年初頭に記録された約90,000BTC、そして2024年前半の約140,000BTCの移動が存在する。
今回のような大規模なビットコイン移動の要因のひとつには、利益確定を目的とした売却準備が挙げられる。ただし過去の動向を見ても、大量のビットコイン移動が必ずしも市場の急落につながっているとは限らない。2024年前半に記録された140,000BTCの移動後も、市場は比較的安定した推移を見せている。とはいえ、ビットコイン価格が過去最高水準付近で推移している現在、利益確定を狙う動きはごく自然な流れだ。こうした背景からも長期保有者による強力な売り圧を警戒する必要がある。
かつては「デジタルゴールド」として保有することが主だったが、最近はビットコインDeFi(分散型金融)を活用したステーキングや利回り獲得など、投資家にとってビットコイン運用の選択肢は拡大しつつある状況だ。長期保有者にとって運用の選択肢が増えたことは、「戦略的なウォレット移動」を目的とした動きを促進させる要因となり得る。こうした背景も、今回のビットコイン移動につながった可能性が考えられるだろう。
これまで動いていなかったビットコインの復活は、売り圧による市場への警戒感を呼び起こす一方、DeFiを活用した運用多様化といったポジティブな変化の一端とも捉えられる。長期保有者による動きがどのように市場に影響を与えるか、今後のビットコイン価格動向と共に注視する必要がありそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.86円)