中国、人民元ステーブルコイン導入を検討──米国に対抗し国際通貨化を加速

JinaCoin編集部
9 Min Read
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

中国政府が、人民元に裏付けされたステーブルコインの利用を初めて容認する方向で検討していることが分かった。20日、ロイター通信が報じた。事情に詳しい複数の関係者によれば、これは同国の暗号資産(仮想通貨)に対するこれまでの慎重姿勢を大きく転換するものであり、人民元の国際化を加速させる狙いがある。

国際市場での人民元シェアは2.88%に低下、巻き返し急ぐ

関係者によると、中国の国務院(内閣に相当)は今月後半にも、人民元の国際利用拡大を目的としたロードマップを審議し、承認する可能性がある。この計画には、国際市場における人民元の利用目標や、国内規制当局の役割分担、さらにリスク防止に関するガイドラインが盛り込まれる見通しだ。

また、今月末にも国家指導部が「人民元国際化とステーブルコイン」をテーマに学習会を開催する予定であり、ここでステーブルコインの適用範囲や開発方針について方向性が示される見込みである。

中国は2021年に仮想通貨の取引とマイニングを禁止し、金融システムの安定性確保を優先してきた。しかし、世界第2位の経済大国でありながら、人民元の国際通貨としての地位は限定的である。国際決済銀行によれば、人民元の国際決済シェアは今年6月時点で2.88%と2年ぶりの低水準に落ち込み、米ドルの47.19%とは大きな差がある。

こうした状況下で、米国がドル連動型ステーブルコインの制度整備を進め、国際的な主導権を握ろうとする動きは、中国の政策転換に影響を与えているとみられる。関係者によれば、金融革新の一環としてステーブルコインを活用することで、ドル主導の流れに対抗し、人民元の利用拡大を後押しする意図があるという。

計画の実行拠点としては、香港と上海が選ばれる見通しだ。香港では8月1日にステーブルコイン規制条例が施行され、人民元連動型コインの導入に有利な環境が整った。上海ではデジタル人民元の国際業務センターが設立されており、政策実行の拠点となる可能性がある。

さらに、中国は8月31日から9月1日に天津で開催される上海協力機構(SCO)首脳会議において、一部加盟国と人民元およびステーブルコインの国際貿易・決済利用を議題にする方向で調整している。

人民元ステーブルコインの導入検討は、中国の政策における大きな転換点である。人民元の国際化を加速させる可能性を秘める一方、資本規制や市場信頼性といった根本的課題は依然として残る。今後、中国がどのように制度を整備し、国際社会の信頼を得られるかが試金石となるであろう。

関連:ステーブルコイン流通量2,000億ドル突破、前年比57%増=Artemis
関連:アーサー・ヘイズ「ステーブルコインの成功の鍵は流通チャネルにあり」

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

Share This Article
JinaCoin編集部です。JinaCoinは、株式会社jaybeが運営する仮想通貨情報専門メディアです。 正確性・信頼性・独立性を担保するため編集ガイドラインに沿って、コンテンツ制作を行なっています。 一般社団法人 ブロックチェーン推進協会所属
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA

厳選・注目記事

YouTube

あなたのプロジェクトを広めませんか?

JinaCoinでは、プレスリリースや記事広告、バナー広告など複数の広告を提供しています。詳しい内容は下記お問い合わせページよりご連絡ください。