米大手スタートアップ・アクセラレーターのYコンビネーター(YC)は24日、暗号資産(仮想通貨)取引所大手Coinbase(コインベース)及びそのL2ブロックチェーンBase(ベース)と提携し、「オンチェーン構築」に特化したスタートアップへの投資プログラムを開始すると発表した。同社は現在を「フィンテック3.0」時代の始まりと位置づけ、低コストチェーン、ステーブルコイン、使いやすいウォレットなどのインフラが整った今こそが構築の最適なタイミングと強調している。
「コードで金融システム構築」の新時代
YCは金融技術の進化を3段階に分類し、現在始まっているフィンテック3.0を「コードで新たな金融システムを構築する時代」と定義した。新システムでは決済が世界中で24時間365日瞬時に処理され、ユーザーは銀行ではなく完全に自分が管理するデジタルウォレットに資産を保存する。
長年の障壁だった規制の不確実性がGENIUS法案の成立により解消されたとし、「暗号資産スタートアップにとって数年ぶりの最も重要な機会」と評価している。
ステーブルコインとトークン化に注目
投資強化分野として、ステーブルコインの統合プラットフォーム、現地通貨ペッグ型ステーブルコイン、暗号資産ネイティブコマース事業を挙げた。ステーブルコインは既に兆ドル規模の決済が処理され、GENIUS法案成立後は時価総額が300億ドル以上拡大している。
トークン化領域では、政府債券、スタートアップ株式、アート作品などの実物資産をデジタルトークン化し、従来流動性の低かった資産を誰でも所有・取引可能にする変革を予測。ウォレット搭載AIエージェントによる新アプリケーションの爆発的増加も期待している。
YC、ベース、コインベース・ベンチャーズの3社連携により、オンチェーン開発者への包括的支援体制を構築し、次世代金融システムの構築を加速させる方針だ。