26日にマレーシアで行われた米中閣僚級協議にて、ベセント米財務長官は、検討中であった中国製品に対する100%追加関税は回避され、中国のレアアース輸出規制も1年間延期される見込みであると述べた。最終的には30日の米中首脳会談で決まる予定だが、マーケットは米中貿易摩擦が和らぐとみたリスク選好のドル買いが進んでいる。
加えて、24日に発表された9月のアメリカ消費者物価指数(米CPI)が予想をやや下回る結果となったこともドル買いの要因となった。一般的に消費者物価指数が上昇するとインフレ対策として利上げの選択がされることになるが、今回のCPIはFRBの利下げを阻む要因とならなかったこともドル高を後押しした。
ただし、米中貿易摩擦と高市政権への期待感以外には新しい材料がないこと、そして週内にはFOMC(米連邦公開市場委員会)と日銀金融政策決定会合も控えており、全体的に様子見ムードが強そうだ。
ドル円相場|リスクオンのドル買いが加速

経済指標や利確売り等で一時的に下げる場面はありつつも、基本的には着実にレンジ相場を上抜けながら上昇を続けている。日米政策金利や30日の米中首脳会談によってはドル高に拍車がかかる可能性もあるため注意が必要だ。
テクニカル面では、このまま10日に付けた153円27銭の高値圏を明確に上抜けすると、155円を目指した上値トライの展開になる可能性がある。為替相場や株式市場などマーケット全体でリスクオンの動きが出ている相場では些細な出来事で急落することもあるので、好調であるときこそファンダメンタルズを確認しながら慎重なトレードを心がけたい。
ゴールド相場|先週に引き続きレンジ相場を維持

ゴールド相場も先週に続いて方向感のない低調な動き。21日-22日のゴールド暴落の影響で投資家が慎重になっていること、さらに市場では株などのリスク資産への積極的な投資が加速していることから、安全資産とされるゴールドへのマネー流入が低下した形だ。
テクニカル面では、高値と安値が狭まる三角持ち合いというチャート形状に近くなっているようにみえる。投資家が迷っている状態である三角持ち合いは、長引くほどに力をため、どちらかに抜けると一気にチャートを伸ばす傾向にある。仮に現状の持ち合い相場でトレードする場合は、高値・安値を抜けた時の撤退は確実にしておこう。
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