23日午前のドル円相場は152円半ばまで上昇した。積極財政を掲げる高市政権に期待したドル高円安が進んでおり、高市政権発足後で初めてとなる日銀金融政策決定会合(29日・30日に開催)では利上げを見送る公算が高いこともドル高円安を支援する要因となった。
一方でアメリカに目を向けると、ドル安円高となる材料も少なくない。トランプ政権は重要ソフトウェア輸出の対中制限を検討。単なる貿易交渉を有利に進めるための材料との見方が強いが、どこまで真剣に検討をしているか定かではないため、貿易摩擦が激化する要因になるのではないかとの警戒感が続く。
加えて、ロイターが10月15─21日に実施したエコノミスト調査では10月と12月のFOMC(連邦公開市場委員会)でそれぞれ利下げを決定するとの予想が示された。一般的に利下げは自国通貨安、利上げは自国通貨高を招くため、利下げの可能性が高いドルと利上げの可能性が高い円はドル安円高の圧力となる。
一通りの材料が出揃った形だが、現時点では円安ドル高を止める要因とはなっていない。円安が進む相場に明確なけん制が見られないという点もドル高円安の後押しとなり、じりじりとドル買い/円売りが進む展開となっている。
ドル円相場|152.30円台をゆっくり上昇中

ドル円は23日14時時点で152.30円台を推移。新たな材料は特段ないものの、着実にレンジ相場を上抜けつつ上昇していることから、ロスカットなどを巻き込みながら上昇に弾みがついていると考えられる。
テクニカル面をみると、直近では152.20円、続いて151.40円と151.20円がサポートラインとみられる。上下にヒゲが見られるようになったことからも相場に方向感がなくなってきており、トレンド相場で有効となる押し目買い・戻り売りはあまりおすすめできない。
原則としては上昇を見込みながらも、上記で挙げたサポートラインを目安にレンジ相場で細かく利益を取っていくようなスタイルが合うはずだ。
ゴールド相場|21日ー22日の暴落余波が続く

22日午前に一時1トロイオンス=4,000ドル台まで暴落したゴールド価格は、22日午後のニューヨーク市場の時間にも4,030ドル台まで下落。現在は4,120ドルー4,130ドル台を推移している。
テクニカル面ではゴールド相場も方向感のない動きが続く。下目線では2度の下落を防いだ4,000ドルのサポートラインは非常に強く感じる。一方で上を見ると暴落後の最高値である4,160ドル台、そして暴落前の最安値である4,180ドル台が1つの目安となる。
底値が固い以上はじりじりと上昇して4,160ドルー4,180ドルを上抜けしようとするアクションが起きる展開も考えられるため、抜けてくるようであれば上昇トレンドを見込んだ長期目線での仕込みも面白いだろう。
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