米大手銀行、ステーブルコイン共同発行を検討──仮想通貨市場への本格参入に現実味

ヤマダケイスケ
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JPモルガンやバンカメなどが共同出資する企業が協議に参加

米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は22日、米国の主要銀行がステーブルコインの共同発行に向けた協力体制の構築を検討していると報じた。このステーブルコインの共同発行をめぐる協議には、「JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)」や「Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)」、「Citigroup(シティグループ)」などの大手銀行が共同所有する企業が関与していることが明らかになっている。

事情に詳しい関係者の話によると、これまでの協議には主要銀行が共同所有する企業が参加しているという。具体的には、大手決済サービス企業「Clearing House(クリアリングハウス)」やピアツーピア(P2P)送金システム「Zelle(ゼル)」の運営企業「Early Warning Services(アーリー・ワーニング・サービス)」が挙げられている。

なお、協議は現在初期段階にあり、今後変更される可能性があるという。具体的な計画は固まっていないものの、米国金融業界全体における暗号資産(仮想通貨)への関心が高まっていることは確かだと言えるだろう。

また、この動きは一部の地方銀行やコミュニティバンクにも波及しており、それぞれが独自のステーブルコインを共同で発行する可能性も検討されているとも報じられている。こうした動きは、ステーブルコインが一部の先進的な金融機関だけでなく米国金融システム全体に普及し、そのインフラが多層的に構築される可能性を示している。

「銀行が直接ステーブルコインを発行する」という点では、信頼性や安全性の面で、既存のステーブルコインを上回る可能性もある。こうした銀行発のステーブルコインが、従来の銀行システムが抱える課題を解決していけば、国内での利用範囲が広がるだけでなく、ドルの国際的な優位性を高める一因となることも期待される。

米上院は19日、2月に提出されたステーブルコインの適正な規制枠組みを整える「GENIUS法案」の審議を続行することを決定した。仮にこの法案が正式に成立すれば、これまで慎重な姿勢を示していた機関投資家の仮想通貨市場への参入が進む可能性があり、銀行によるステーブルコイン発行の動きを加速させる要因にもなり得る。

ステーブルコインに関する規制整備の進展は、大手銀行による仮想通貨分野への本格参入の後押しになる可能性が高い。金融業界の動向は、今後の仮想通貨市場にも大きな影響を与えるとみられている。

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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