世界最大のステーブルコインUSDTの発行元「Tether(テザー)」は19日、元ホワイトハウス仮想通貨評議会の事務局長、ボー・ハインズ氏を「デジタル資産および米国戦略担当戦略顧問」に任命したと発表した。
米国での事業展開と政策対応を加速
テザーは、同社の成長戦略の一環として、米国市場への進出と影響力拡大を進めている。その中核を担う人材として起用されたのが、政策立案、法律、民間分野での豊富な経験を持つハインズ氏だ。テザーのCEOであるパオロ・アルドイーノ氏は、「ハインズ氏の任命は、我々が米国において多分野にわたる強固なプレゼンスを築こうとしていることを示すものだ」と述べている。
ハインズ氏はホワイトハウス在任中、ステーブルコイン発行者のための政策枠組みの策定や、政府とブロックチェーン業界の連携強化に取り組んだ。また、責任あるイノベーション、消費者保護、新技術の安全な金融システム統合を目的とした省庁横断的な作業部会を主導した実績もある。
今後はテザーの経営陣と緊密に連携し、米国市場への参入戦略を策定・実行。政策決定者や業界関係者との建設的な関係構築に注力するとしている。
テザーはこれまでに、米国内のエコシステムに約50億ドル(約7,388億円)を再投資してきた。ハインズ氏の起用は、この取り組みをさらに加速させる布石となる。アルドイーノ氏は、「ハインズ氏の立法プロセスへの深い理解とブロックチェーン実装に対する情熱は、我々が米国市場で成功するために不可欠だ」と述べ、同氏の参画に大きな期待を寄せている。
ハインズ氏のような政策通を迎え入れることで、テザーはこれまで以上に米国当局との対話を重視する姿勢を明確にしたといえる。これは、ステーブルコイン市場全体にとっても、法規制との調和を模索する重要な転機となるだろう。今後のテザーの米国戦略は、同業他社の動向にも影響を与える可能性が高い。業界全体として、政策との健全な連携による持続可能な成長が求められている。
関連:テザー、米国債関連資産1,200億ドルに拡大──Q1営業利益は過去最高の10億ドル超
関連:トランプ大統領、ビットコインを国家戦略に 米国を『超大国』へ
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.77円)