グレースケール、SUIトラスト「GSUI」をOTCQXで取引開始──SUI投資の新たな選択肢に

ヤマダケイスケ
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Highlights
  • グレースケール、SUI連動トラスト「GSUI」がOTCQX市場で取引開始されたことを発表
  • 運用資産総額は約463万ドル、1口当たりの基準価額は21.78ドル、保有量は14.51 SUI
  • 償還機能を持たないため、市場価格が実際の価値と乖離する可能性をリスクとして強調

暗号資産(仮想通貨)運用企業グレースケールは20日、同社の「Grayscale Sui Trust(グレースケール・スイ・トラスト、ティッカー:GSUI)」が、同日より店頭取引市場「OTCQX」で取引開始されたと発表した。GSUIは、証券の形でSUI(スイ)への間接的な価格変動へアクセスできるように設計された金融商品となる。

証券形式でSUI投資が可能に、保管や管理の手間を解消

GSUIは、1口当たりの価値が基本的にSUIの市場価格から、年間2.50%の運用管理費などを差し引いた価格を追跡する仕組みで設計されている点が特徴だ。発表時点での運用資産総額は約463万ドル(約7.2億円)、1口当たりの基準価額(NAV)は21.78ドル(約3,400円)を記録。1口当たりのSUI保有量は約14.51 SUIとなっている。

OTCQX市場での取引開始は、GSUIの口が市場で決まる価格で売買可能になることを意味する。これにより、証券会社を通じた一般的な投資手段として、SUIの価格変動から利益を得ようとする投資家への窓口拡大が期待される。

一方、GSUIはETF(上場投資信託)とは異なり、基準価額と市場価格の差を調整する「償還」の仕組みを備えていない。発表では、市場環境によっては口の価格が基準価額よりも割高や割安になることがあり、その乖離が時として大きくなる可能性が示されている。

また、GSUIは運用管理費を支払うため、保有するSUIを定期的に売却する仕組みである点にも注意が必要だ。これにより、投資家が保有する1口当たりのSUI保有量は時間経過とともに徐々に減少し続ける。これは投資家にとって、長期的なリターンを押し下げる要因となり得るだろう。

一般投資家に対する投資機会の拡大が進むSUIだが、その価格推移は軟調を示している。執筆時点のSUI価格は約1.50ドルで前日比0.70%高となったものの、10月以降の下落基調から反転できていない。

SUIの価格チャート
出典:TradingView

GSUIのOTCQX市場での取引開始は、SUIと既存金融の接点を広げる動きとして位置付けられる。この新しい投資手段の提供が、SUIの価格上昇やエコシステムの発展をさらに後押しする可能性に期待したい。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.3円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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