米SECアトキンス議長が表明「仮想通貨の明確なルール策定を最優先に」

JinaCoin編集部
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従来の専門部門を廃止、イノベーションは全庁対応へ

米国証券取引委員会(SEC)の新議長ポール・S・アトキンス氏は、米下院の小委員会で証言を行い、暗号資産(仮想通貨)を含むデジタル資産に対する規制方針について詳細に言及した。アトキンス議長は証言の中で、SECの三大使命(投資家保護、資本形成、公正かつ効率的な市場の維持)に立ち返ることを強調し、その中でもデジタル資産の領域において「明確なルールの整備」を優先課題に据える姿勢を示した。

アトキンス氏は、2017年以降、民間部門でデジタル資産のベストプラクティス策定に関わってきた経験を踏まえ、現在の仮想通貨市場が「不明確、もしくは規制が存在しない」状態であることが、イノベーションを阻害し、詐欺を招く要因になっていると指摘。これを受けて、今後は「規則による規制」によって市場に透明性と予測可能性をもたらす意向を示した。

また、SEC内部では、コミッショナーのヘスター・パース氏とマーク・ウイエダ氏が主導する「クリプト・タスクフォース」がすでに設置されており、これまでに「証券性の判断基準」「仮想通貨取引の規制」「カストディ」「トークン化」といったテーマで4回の公開ラウンドテーブルを開催済みである。次回は分散型金融(DeFi)に関する議論が予定されており、広く業界や市民からの意見を募集する方針だ。

証言の中でアトキンス氏は、「仮想通貨市場に対しては、議会が定めた既存のSEC権限の範囲内で、目的に即した基準を設定する」とし、制度の明確化と執行の原則回帰に重きを置く考えを明示。これにより、規制による事後的な摘発ではなく、事前的なガイドライン整備によって業界の予見可能性と健全な成長を後押しする姿勢を見せた。

さらに、これまでイノベーション分野を専門的に支援していた「FinHub(フィンハブ)」の廃止にも言及。アトキンス氏は「イノベーションはSEC全体に根付かせるべきであり、特定の小規模部門に閉じ込めるべきではない」と述べ、デジタル資産やAIなどの新技術に対しても、全庁的に対応する体制を強化していく姿勢を打ち出した。

仮想通貨における規制の曖昧さは、米国だけでなく世界中の業界関係者にとって大きな懸念材料であった。今回、アトキンス議長が「明確なルールの整備」と「既存権限の活用」を軸にした政策方針を示したことは、業界にとって大きな一歩である。規制とイノベーションのバランスを取りながら、米国市場におけるデジタル資産の信頼性と健全な成長が促進されることを期待したい。

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