ビットコイン財務戦略企業で東証スタンダード上場のメタプラネット(3350)は4日、10月28日に締結したクレジット・ファシリティ契約に基づき、10月31日に1億ドル(約154億円)の借入を実行したと発表した。同社が保有する30,823 BTC(約35億ドル相当)を担保として差し入れており、調達資金はビットコインの追加取得やインカム事業、自己株式の取得に充当する予定だ。
BTC担保で1億ドル借入、日々自動更新の柔軟な契約
今回の借入概要は以下の通り:
- 借入金額:1億ドル(約154億円)
- 借入実行日:2025年10月31日
- 支払金利:基準ドル金利+スプレッド
- 借入期間:日々自動更新
- 返済方法:同社の裁量により、いつでも返済が可能
- 担保:同社保有ビットコイン
借入先については「相手先のご意向により非開示」としている。本契約は10月28日に発表した上限額5億ドル(約764億円相当)のクレジット・ファシリティ契約に基づくもので、今回はその約20%を活用した形だ。
担保余力は十分、保守的な財務運営を徹底
一般的にビットコインを担保とした借入では、ビットコイン価格が下落した場合に追加担保の差し入れが必要となるリスクがある。しかし同社は、10月31日時点で30,823 BTC(約35億ドル相当)を保有しており、「本借入金額に対する保有ビットコインの規模は十分に大きいため、担保としての余力は十分に維持できる」としている。
また、「ビットコイン価格が大幅に下落する局面においても、担保余力を十分に維持できる範囲内でのみ借入を実行する方針」とし、過度なレバレッジを取ることのない保守的な財務運営を徹底すると強調した。
調達資金の使途:BTC追加購入、インカム事業、自己株式取得
調達した資金の使途について、同社は以下の3つを挙げている:
- ビットコインの追加取得
- ビットコインインカム事業
- 市場環境に応じた自己株式の取得
このうち「ビットコインインカム事業」については、調達資金を証拠金として活用し、オプションプレミアムを獲得するために運用する予定としている。これは、保有ビットコインを活用した収益事業の強化を意味しており、同社の事業戦略の多角化が進んでいることを示している。
同社は本借入に伴う2025年12月期の業績への影響は軽微と見込んでいるが、重大な影響を与えることが判明した場合は速やかに開示するとしている。
メタプラネットは2024年4月からビットコイン購入戦略を本格化し、現在では世界第4位の企業保有量を誇る。今回のクレジット・ファシリティ契約活用により、資金調達手段の多様化とビットコイン関連事業の拡大を同時に進める方針だ。
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