7日の大統領令とは異なるアプローチ
米国のシンシア・ルミス上院議員は11日、戦略的ビットコイン準備金に関する法案を再提出したと発表した。この法案は「全国的最適化による革新、技術、競争力強化(BITCOIN)法案」と名付けられており、ドナルド・トランプ大統領が7日に署名した大統領令とは、新規ビットコインの取得方法について異なるアプローチを採るものとなっている。
ルミス議員は2024年7月31日に最初の法案を提出している。具体的な内容としては、米財務省下で安全なビットコイン保管庫の分散型ネットワークを確立し、物理的・サイバー的な観点によるセキュリティ確保の法的要件を定める。
さらに、米財務省とFRS(連邦準備制度)は、既存の資金を活用し、100万BTC(総供給量の約5%)の蓄積を目指している。具体的には、FRBが保有する金保有証書の再評価や、財務省の既存準備金を活用する予定である。
今回提出された法案は、2024年に提出した法案を基に細かな修正が加えられている。新たにフォークされた資産の取り扱いに関する規定が追加され、フォークによって生じた資産は5年間の保管義務が設けられることが明記された。その後、市場価値の高い資産を優先的に保管し、それ以外の資産は売却可能とする方針が盛り込まれた。
また、米財務省が管理するESF(為替安定化基金)に関する修正も加えられた。これは合衆国法典の修正も含まれており、ESFは既存の金や外国為替に加え、ビットコインを正式な準備資産として保有し、取引できるようにするというものだ。さらに、ビットコインの取引と保有状況については、定期的に会計報告を行うことが義務付けられる。
ルミス議員は今回の法案再提出にあたり、「ビットコインは単なる技術的な機会ではなく、21世紀におけるアメリカの継続的な金融リーダーシップのための国家的な必須事項」とコメント。米国が新たな金融イノベーションを取り入れ、グローバルな経済競争力を維持するための重要な一歩であることを強調した。
本法案が仮に成立すれば、米国の経済戦略におけるビットコインの重要性はより高まると考えられる。ただし、トランプ大統領の大統領令では新規購入を行わず、押収したビットコインを活用する方針が示されているため、今回の法案が提案する新規購入計画との政策の違いが今後の議論の焦点となる可能性がある。本法案の動向は暗号資産(仮想通貨)大国を目指す米国はもちろん、各国や仮想通貨業界からも大きな注目を集めている。
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