日本円連動ステーブルコイン「JPYC」、日常決済から企業間取引まで導入が加速

ヤマダケイスケ
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日本円に連動するステーブルコイン「JPYC」を巡る動きが、ビジネスと日常生活の双方で急速に拡大している。JPYCの開発企業である「JPYC株式会社」は8月18日、国内での資金移動業者登録を完了。同コインの法的基盤が整備され、幅広いサービス分野からの関心が高まった。今秋にも発行の見通しとなっているJPYCだが、すでに早期の実用化に向けた大きな一歩を踏み出している。

JPYC発行に向けた法整備と民間企業の動き

一般消費者向けサービスでは、クレジットカード事業を展開する「ナッジ株式会社」がJPYCでの返済受付を2025年10月を目処に開始すると発表した。利用ユーザーは指定のウォレットアドレスにJPYCを送金することで、「JPYC払い」によるスムーズな決済が可能となる。同社はまず一部ユーザーから導入を始め、段階的に対象者を拡大するという。

さらに、企業間取引や業務効率化の領域でも導入が進む。ブロックチェーン開発支援を行う「Komlock lab株式会社(コムロックラボ)」は、企業が自社サービスにJPYCを組み込むための開発支援パッケージ「Stablecoin Assist(ステーブルコイン・アシスト)」の提供を開始した。これにより、ECサイトでのJPYC決済機能の追加はもちろん、企業間の決済をJPYCで行うプラットフォームの構築などが容易になると見込まれている。

JPYCの利用環境拡大はこれだけにとどまらない。「株式会社電算システム」は、全国6万5千以上のコンビニやドラッグストアのネットワークを活用した決済システムの開発を進めており、実店舗でのJPYC利用を構想。また、「アステリア株式会社」はノーコード開発ツール「ASTERIA Warp(アステリア・ワープ)」にJPYC連携機能を追加予定。企業が資金移動手続きを自動化できる仕組みを提供することで、業務フロー全体の効率化を後押しする狙いだ。

法的な整備とともに民間企業の多様な活用事例が現実化しつつある今、JPYCは日本におけるステーブルコイン経済圏の中心的存在を担う可能性を秘めている。この流れが今後、消費者や企業の金融行動を大きく変えるきっかけとなるかが注目されそうだ。

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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