英国の金融行為監視機構(FCA)が、暗号資産(仮想通貨)取引所「HTX(旧:Huobi)」を構成する複数の事業体をロンドン高等裁判所に提訴したことが明らかになった。22日、ブルームバーグが報じている。
無許可宣伝を問題視、旧Huobi時代から続く監視
報道によると、今回FCAが提訴に至った背景には英国の金融プロモーション規約の違反があるという。同機構はHTXが英国の消費者に対して、暗号資産サービスを不法に宣伝したと主張している。FCAはHTXがHuobiだった時代にも、潜在的な顧客に対してプラットフォームの利用に対する注意喚起を行ってきた。
FCAは声明の中で、「今回の法的措置は、消費者保護と金融市場の健全性維持を目的とする取り組みの一環である」と強調し、規制執行を積極的に進める姿勢を示している。なお、訴訟の具体的な内容や訴状の詳細は現時点で明らかにされていない。
今回の訴訟に関連して、HTXのアドバイザーを務めるジャスティン・サン氏の関与が懸念されているが、同氏は被告として訴訟の対象に含まれていないという。HTX側は現時点で正式なコメントを発表しておらず、訴訟への対応方針は不透明なままとなっている。
新たに5社を警告リストに追加、投資家へリスク警告
FCAは近年、無許可で暗号資産関連サービスを提供する業者への取り締まりを強化しており、英国での金融プロモーションに関する規制を厳格に運用している。同機構は21日にも、新たに5社を警告リストに追加した。
- Smart Option FX(スマートオプションFX)
- Telmax Investment(テルマックスインベストメンツ)
- Elite Bit Markets(エリートビットマーケッツ)
- Atlas Trade Option(アトラストレードオプション)
- ApexTrade Exchange(エイペックストレードエクスチェンジ)
FCAはこれらの業者が「許可なく金融商品やサービスを提供・宣伝している可能性がある」と指摘。これらの業者と取引した場合、英国の金融オンブズマン制度や補償制度の対象外となる可能性があるとして、投資家に注意を呼びかけている。
英国当局は無登録の暗号資産業者に対して、もはや法的措置も辞さない姿勢を示している。暗号資産市場が国境を越えて拡大する中、FCAの厳格な規制が国内市場の拡大にどう影響していくのかに注目していきたい。
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