イーサリアム(ETH)の共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は26日、次年度のイーサリアムネットワークの成長戦略について公式Xで言及した。投稿内でブテリン氏は、イーサリアムは引き続き成長していくとする一方、その成長が「より的を絞った、一様ではない」ものになるとの見解を示した。
ガス上限5倍に引き上げなら、高負荷操作の手数料も5倍へ
ブテリン氏の発言の背景には、イーサリアムの開発者トニ・ワールシュテッター氏による報告がある。同氏は、コミュニティがガス上限の引き上げを提案してから約1年で、ブロック当たりの処理量の上限が6,000万ガスと2倍に達したと公式Xで説明。「これはまだ始まりに過ぎない」として、ネットワークの今後の成長に期待を示した。
これに対してブテリン氏は、ガス上限引き上げによる処理能力向上を認めつつも、成長の質を調整する必要があるとの考えを示した。同氏は仮にガス上限を5倍に引き上げる場合、負荷が大きい操作に対する手数料も比例して5倍に引き上げるという具体案を投稿内で提案している。
ネットワークにとって「非効率」と見なされる特定の操作に対するコストを高めることで、利用者に効率的な使い方を促し、システムの健全性を維持しようという狙いのようだ。ブテリン氏は自身の見解を基に、ガス代の引き上げ対象となる可能性のある操作を投稿内でリストアップしている。
- 新しい保管場所を作成する際のSSTORE(保管)操作
- SSTOREにかかる操作全般(引き上げはわずかを想定)
- 楕円曲線に関するものを除く事前準備された処理
- コントラクトが非常に大きいものへの呼び出し
- MODMULをはじめとした一部複雑な計算を行う操作
- Calldataをはじめとした入力データ(引き上げはわずかを想定)
これはネットワーク全体の負荷を抑えながら、持続的な発展を保つための調整として位置付けられる提案になりそうだ。仮に提案が実現すれば、開発者にとってはプログラム設計の最適化が一段と求められ、利用者にとっては取引内容に応じた費用構造を理解する重要性が増す可能性があるだろう。
イーサリアムがこの方向性をどこまで制度化し、どのような形で料金体系に反映していくのかは現時点で明確ではない。効率を軸に据えた新たな成長戦略がどのように実装され、利用環境にどのような変化をもたらすのか、今後の議論と動向が注目される。
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