暗号資産メディアDecrypt(デクリプト)が13日に報じたところによると、国際通貨基金(IMF)はエルサルバドルが政府保有ビットコインの追加購入を停止していると回答し、ブケレ大統領が継続的に行っているビットコイン購入発表との間で見解の相違が明らかになった。IMF広報官のミーラ・ルイス氏はデクリプトの取材に対し「政府保有ビットコイン総量は増加していない。公開されているビットコイン準備金の増加は、政府が所有する他のウォレットからの移動に過ぎない」と回答した。
1日1BTCの購入継続を主張も透明性に疑問
ブケレ大統領は2022年11月から1日1ビットコインの購入を継続すると表明。現在の価格では1日約1,700万円相当の「デジタルゴールド」を購入していることになる。直近では、エルサルバドルのビットコイン法制定4周年を祝して21BTCを購入したと発表し、政府の透明なブロックチェーン金庫には現在7億ドル超のBTCが保管されているとした。
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しかし、エルサルバドルは深刻な財政状況から2024年12月にIMFと14億ドルの融資協定を締結。その条件として、これまで積極的に推進してきたビットコイン政策の規模を大幅に縮小することを受け入れざるを得なくなった。
専門家「政府によるウォッシュトレードの可能性」
それでもブケレ大統領は3月にX(旧Twitter)で「いいえ、(購入は)止まりません」と宣言。「世界が我々を排斥し、ほとんどの『ビットコイナー』が我々を見捨てたときでも止まらなかったのだから、今も止まらないし、将来も止まることはない」と反IMF姿勢を貫いている。
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ワシントンD.C.のリスク分析コンサルタント会社Hxagonの創設者ジェームズ・ボスワース氏は「彼がすべてを市場で新規購入しているとは考えにくい。政府が後押しするウォッシュトレード(見せかけ取引)として既存の資金とビットコインを移動させている可能性が高い」と分析。
「ブケレ氏の非専門的な暗号資産管理は予算状況を不透明にしている。これは国民の資源であって、大統領が取引ゲームをする個人ウォレットではない」と厳しく批判した。
分析会社アーカムのブロックチェーンデータでは、エルサルバドルの公開ウォレットがバイナンスやビットフィネックスからの入金で1日1ビットコインペースで増加している。ただし、分析会社バブルマップスは「現在移転されているビットコインがいつ実際に購入されたかを特定するのは不可能」と指摘。IMF協定前に取得していたビットコインを現在公開ウォレットに移している可能性も示唆している。
エルサルバドル政府はデクリプトに対し「大統領は実際にまだビットコインを購入している」と回答したが、詳細な説明は拒否。関連する暗号資産取引所も質問への回答を避けている。