暗号資産(仮想通貨)分析企業クリプトクオントは7日、暗号資産をトレジャリー戦略として保有する複数企業が株価急落や巨額の含み損に直面していると報告した。ビットコインの価格低迷が、BTC保有企業の株価だけでなく、アルトコイン保有企業の財務状況にも深刻な影響を及ぼしている。
ストラテジー、株価53%下落

ビットコイン投資で知られるストラテジー(MSTR、旧マイクロストラテジー)の株価は史上最高値(ATH)から53%下落し221ドルで取引されている。同社株価はビットコイン保有量をベースとした価格バンドの下限に到達しており、市場が同社のBTC保有戦略に対する評価を大幅に切り下げている状況が浮き彫りとなった。
クリプトクオントのチャートによれば、MSTR株価は2024年から2025年初頭にかけて大幅に上昇し、一時は上限バンド付近まで達していたが、その後急落。史上最高値からのドローダウンも拡大している。
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メタプラネット、株価もATHから80%下落

日本のビットコイン財務企業メタプラネット(3350)は約3.08万BTCを平均取得価格10.6万ドルで保有しているが、含み損は約1.2億ドル(約184億円)に達している。同社株価は史上最高値(ATH)から約80%下落しており、ビットコイン価格の低迷が株価にも深刻な影響を及ぼしている。
クリプトクオントは同社のチャートで、2024年初頭から継続的にBTCを蓄積してきた様子を示しており、ビットコイン価格の上昇期には大幅な含み益を記録していたことがうかがえる。
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エバーノース、XRPで7,900万ドルの含み損

世界最大のXRP財務企業エバーノースは2.5週間前からXRPの蓄積を開始し、3.887億XRP(約6,000億円相当)を約9.47億ドル(約1,450億円)で購入した。しかし現在価値は約8.68億ドル(約1,330億円)に減少しており、含み損は約7,900万ドル(約121億円)に達している。投資開始からわずか2.5週間で大幅な含み損を抱える結果となった。
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ビットマインも21億ドルの含み損

米NYSEアメリカン上場のビットマイン(BMNR)は、10月10日の市場暴落後に44.2万ETH(約1,350億円相当)を追加購入したが、含み損は約21億ドル(約3,220億円)に膨らんでいる。
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一方、ステーブルコイン発行企業テザーは8.72万BTCを準備金として保有しているが、同社のビットコイン保有戦略は安定的に推移している。
クリプトクオントは「ビットコインだけでなく、アルトコインを保有するトレジャリー企業も圧力下にある」と指摘しており、暗号資産市場全体の調整局面が企業財務に与える影響が顕在化している。




