英ロンドン警視庁は16日、大規模な暗号資産(仮想通貨)投資詐欺に関与した疑いで、21歳から37歳までの5人の男性を逮捕したと発表した。同庁によると、この詐欺の被害者は数千人にのぼり、被害総額は少なくとも100万ポンド(約2億円)以上であるとみられている。
「高リターン」を謳った偽プレセール投資の実態
逮捕された男性らは複数のウェブサイトを利用し、新たな暗号資産のプレセール投資を装って投資家を勧誘。これらの暗号資産が「上場後に倍増、またはそれ以上の価値になる」として、投資家へ現金でのリターンを謳って販売を行っていた。しかし、実際には暗号資産を上場させることは意図されておらず、投資の裏付け価値がなかったことが経済犯罪対策チームの調査により判明しつつある。
ロンドン警視庁は、この詐欺事件に関連するとみられる5つのウェブサイトを特定・公開。一部は過去に別のドメイン名で運営されていたことが判明しており、被害者の特定を困難にしていたという。
また詐欺の付随行為として、ロンドンにある詐欺拠点「ボイラー・ルーム」の運営が、投資家にさらなる投資を促すためのフォローアップを目的とした電話をかけていた疑いも浮上している。
ロンドン警視庁のスティーブン・ボーン巡査部長は発表の中で、「捜査はまだ初期段階にあるが、この詐欺は英国のみならず、世界中の投資家に被害を及ぼしている可能性がある」と述べ、詐欺と関連するウェブサイトや投資勧誘への関与を避けるよう警告している。
なお、5人の男性は尋問のために一時勾留された後、保釈のうえですでに釈放されている。ロンドン警視庁は暗号資産への投資を検討するすべての人に対し、投資先の徹底的な調査実施と金融行動監視機構(FCA)の警告リストの確認を強く推奨している。
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