先物取引6ヶ月でETP上場可能とする新基準案
「Bloomberg(ブルームバーグ)」のETFアナリストであるエリック・バルチュナス氏は31日、米証券取引委員会(SEC)が暗号資産(仮想通貨)ETP(上場取引型金融商品)の新たな上場基準案を事実上認める方向にあるとの見方を示した。
この基準案は、「シカゴ・オプション取引所(CBOE)」が提出したもの。特定の条件を満たす仮想通貨のETP上場プロセスを大幅に簡素化するもので、ソラナ(SOL)やリップル(XRP)などの現物ETPが今秋にも承認される可能性が出てきた。
「先物があれば承認」という新基準
バルチュナス氏は「結論として、Coinbase(コインベース)のデリバティブ取引所で6ヶ月以上追跡されている先物があるコインは承認されるだろう」と要約した。
これまで仮想通貨ETPは、SECによる個別の厳しい審査を経て承認されてきた。しかし、今回CBOEが申請した「包括的な上場基準」が承認されれば、この基準を満たす仮想通貨は、個別の審査を経ずにETPを上場させることが可能になる。
バルチュナス氏が投稿した画像によると、この基準によってETP承認の対象となる可能性が高いのは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ソラナ(SOL)、XRPなど、すでにコインベースのデリバティブ取引所で先物が取引されている約12の主要な銘柄だ。
また、この申請について、米仮想通貨VC「Multicoin Capital(マルチコイン・キャピタル)」の法務責任者、グレッグ・ゼサリス氏は、「今日はある意味で大きな日だ。CBOEが仮想通貨ETPの包括的上場基準を申請した」と述べ、その重要性を詳しく解説している。
ゼタリス氏によると、新ルールの核心は、「基礎となる資産(仮想通貨)が、指定された契約市場で6ヶ月以上取引されている契約(先物)を持っている場合、発行者のETP株式を取引所に上場できる」という点にあるという。この点はバルチュナス氏の要約とも一致している。
さらにこの申請には、ステーキングに関する条項も含まれている。ゼタリス氏は、「資産の85%未満しか即時償還できない場合、流動性リスク管理プログラムを要求する」という条項を挙げ、これがステーキングを促進し、将来的にステーキング報酬を含むETPの登場を可能にすると指摘している。
SOLとXRPのETPが10月までに登場か
今後のスケジュールについて、ゼサリス氏はこの申請が連邦官報に掲載された後、21日間のコメント募集期間を経て、60日以内に最終決定される可能性があるとの見方を示した。
ゼサリス氏によると「ソラナ先物がCMEに上場してから6ヶ月となるのは9月17日」。この新しい包括的基準が承認されれば、ソラナETPは秋までにこの基準を満たすことになる。XRPについても、ソラナより少し遅れて同様のタイムラインを辿る可能性が高いという。
バルチュナス氏も、「おそらくすべて9月か10月に承認されるだろう」と予測している。
今回の包括的な上場基準の導入は、仮想通貨ETP市場にとって重要な転換点と言える。これまでのように資産ごとに長い審査プロセスを経る必要がなくなり、より多くのアルトコインETPが迅速に市場に登場する道が開かれるため、今後のSECの最終決定に大きな注目が集まっている。
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