高級ワインのRWA(現実資産)取引を可能にするアバランチ基盤の取引プラットフォームCruTrade(クリュトレード)が正式公開された。同プラットフォームはRFIDテクノロジーとブロックチェーンを組み合わせ、物理的なワインボトルを移動させることなくデジタル所有権の移転を実現する。
90億ドル市場の課題解決に挑戦
現在90億ドル規模で2030年には250億ドルに達すると予想される高級ワイン流通市場では、従来から高額手数料、来歴不明、配送中の劣化リスクが深刻な問題となっていた。クリュトレードの調査によると、5,000件の配送のうち15%が30度以上の極端な高温にさらされ、1日未満でワインが劣化する可能性が示されている。
クリュトレードはワインボトルを温度・湿度管理された倉庫に保管したまま、RFID技術とブロックチェーンによる来歴記録で安全な所有権移転を実現。取引手数料の25%をワイン生産者に還元する独自システムも導入している。
世界最大の来歴確認済みトークン化ワイン在庫を確保
クリュトレードは関連会社キュレーテッドとの独占関係により、2021年以降にトークン化された6,000万ドル相当の来歴確認済みワインへのアクセスを確保。ブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュなど250以上の生産者からの希少ボトルを取り扱う。
香港在住のコレクターSean L氏は「クリュトレードなら全てのボトルを信頼でき、セラーのリバランスが必要な時に瞬時に取引できる」とコメント。ブルゴーニュ生産者のTheo Dancer氏も「問題は転売ではなく、その過程でワインに何が起こるかだ。クリュトレードならボトルを危険にさらすことなく価値を引き出せる」と評価している。
今後は世界各地の保税倉庫での取引拡大や、レストラン向けデジタルメニューサービスの展開を計画している。