東証グロース市場上場のコンヴァノ株式会社(6574)は21日、最大21,000BTC保有方針の撤回を含む事業戦略の変更、2026年3月期業績予想の修正、第5回普通社債の条件変更、BTC保有状況の更新を一斉に発表した。同社は「BTCトレジャリー偏重」から「本業起点の事業成長とM&A重視」へ財務戦略を大きく転換する。
BTC戦略を大幅見直し、新株予約権発行を中止
コンヴァノは8月4日に「最大21,000BTC保有」を目標とするBTC戦略を発表し、購入資金調達のため新株予約権(ワラント)発行を計画していた。しかし発表から約3カ月半が経過し、「BTC購入目的ワラントには構造的な限界がある」と判断した。BTC価格の高いボラティリティによる既存株主の希薄化リスク、調達金額の不確実性、市況次第で変動するセンチメントなどを総合的に勘案した結果、「中長期的かつ持続可能な資本政策の手段としては限界がある」との認識に至ったという。
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今後はBTC取得を目的とした新株予約権を発行しない方針に転換し、BTC運用方針も「固定保有」から「機動的な売買」へ変更する。高値で売却し安値で買い戻す戦略により、売却益の一部を事業投資に振り分けながらも、トータルでのBTC保有枚数を維持または将来的には増加させる可能性もあるとしている。11月21日時点で同社は762.67BTCを保有しており、累計取得原価は約131億円だ。
AI・糸リフト事業が急成長、売上20%増も利益8%減
同日発表された2026年3月期通期業績予想では、売上収益を従来予想の123億円から149億円へ20.9%引き上げた一方、営業利益は65億円から59億円へ8.3%引き下げた。
売上増の主因は、子会社DataStrategy社が展開するAIマーケティング・データ分析事業の急成長にある。同事業は11月単月で売上11億円を達成し、12月は最低15億円以上を見込む。ヘルスケア事業でも、韓国メーカーと提携する糸リフト商材の販売が後半期に急伸しており、第3四半期時点で通期目標の営業利益12億1,000万円を超える見込みとなっている。
一方で営業利益減の要因は、インベストメント&アドバイザリー事業の営業利益が46億円から23億円へほぼ半減したことだ。新規BTC取得に連動するPUTオプション売りインカムが、BTC戦略見直しにより縮小した影響が大きい。同社は保有BTCに対するカバードコールは継続する方針で、営業利益23億円は第3四半期時点で既に達成済みの水準を前提とした保守的な数値だとしている。
社債200億円の条件変更、払込期日を5年延期
コンヴァノは第5回普通社債(総額200億円、無利息)の条件も変更した。払込期日を2025年11月30日から2030年11月30日へ5年延期し、償還期限も2027年9月30日から2038年11月30日へ約11年延長する。資金使途は従来の「暗号資産(BTC)購入」から「事業成長投資資金+暗号資産(BTC)購入」へ変更された。
同社は各期20億円ずつ約10期に分割償還する基本方針を示しており、必要に応じて銀行からのリファイナンスも検討する。同社は必要なタイミングで払込を請求できるコールオプション(払込請求権)を確保しており、資金需要に応じて機動的に資金調達できる柔軟な設計となっている。
コンヴァノは2027年3月期の中期経営計画で売上収益237億円、営業利益95億円を目標としており、今回の業績予想修正は「中期目標に向けた通過点」と位置付けている。




