この記事では、Bybitで両建てを進める方法や詳しいルール・条件について解説します。また、これから両建てに初めてチャレンジする方に向け、両建てを活用したおすすめ戦略も紹介しています。ぜひ最後まで記事をご覧ください。
Bybitでの両建ての条件・特徴
仮想通貨取引における両建てとは、買いポジションと売りポジションを同時に保有する取引手法です。両建ては短期的な逆行に対するリスクヘッジとして活用されおり、同一の通貨ペア・取引数量でポジションを保有するのが特徴です。
両建てを行うメリット
- 現在発生している含み益を確定できる
- 反対売買によって含み損を相殺できる
- 短期的な逆行からでも利益を狙える
Bybitの先物取引は両建てに対応しているので、上記のメリットを享受しながら取引を進められます。とはいえ、Bybitでの両建てを進める際は条件やルールの理解が必須です。ぜひ以下から条件・ルールをご確認ください。
インバース無期限契約は両建て未対応
Bybitの先物取引の中でも、「インバース無期限契約」は両建てに対応していません。以下一覧表のとおり、両建て対応しているのは「USDT-M無期限契約」と「USDC-M無期限契約」の2種類です。ぜひいずれかで両建てを進めてください。
両建てに対応する先物取引
先物取引の種類 | 両建ての対応 | 特徴 |
---|---|---|
インバース無期限契約 | – | ボラティリティのある仮想通貨を基軸通貨にした先物取引 |
USDT-M無期限契約 | ◯ | USDTを基軸通貨にした先物取引 |
USDC-M無期限契約 | ◯ | USDCを基軸通貨にした先物取引 |
他の先物取引を併用した擬似的な両建ては可能
インバース無期限契約は他の先物取引を併用すれば、擬似的な両建てを行えます。例えば、インバース無期限契約でBTCUSDTをロング、USDT-M無期限契約でBTCUSDTのショートを進めることが可能です。
両建て対応のマージンモードと通貨ペア
Bybitでは全てのUSDT・USDCペアで両建てできますが、マージンモードの設定によっては両建てできないケースがあります。
マージンモードとは、「取引における証拠金の扱い方」を決めるための取引設定のことです。各種マージンモードでの両建ての可否については、以下一覧表を参照してください。
マージンモードと両建ての可否
マージンモード | 両建ての対応 | 特徴 | メリット |
---|---|---|---|
クロスマージン | ◯ | 複数のポジションで証拠金を共有する設定 | 効率的な資金運用 高い流動性を誇る |
分離マージン | ◯ | 各ポジションで独立した証拠金を設定 | 損失幅を抑えられる 取引戦略を立てやすい |
ポートフォリオマージン (プロトレーダー用) | – | ポートフォリオ全体のリスク評価により証拠金を算出 | 効率的な資金運用 リスク分散できる |
Bybitではデフォルトでマージンモードがクロスモードに設定されています。必要があれば分離マージンを選択して、リスク分散しながら両建てすることも可能です。ただし、すでにポジションを保有している場合はマージンモードを変更できない点に注意してください。
事前にポジションモードの変更が必要
両建てする際には、先物取引の設定である「ポジションモード」をあらかじめ変更する必要があります。ポジションモードには「ワンウェイモード」と「ヘッジモード」の2種類があり、両建てに対応しているのはヘッジモードのみです。
ポジションモードと両建ての可否
ポジションモード | 両建ての対応 | 特徴 | メリット |
---|---|---|---|
ワンウェイモード | – | ポジションを一方向にしか持てない設定 | ポジション管理が簡単 シンプルで分かりやすい |
ヘッジモード | ◯ | ポジションを両方向に持てる設定 | 柔軟な取引戦略に対応 相場変動リスクに対応 |
Bybitの先物取引では、デフォルトでワンウェイモードに設定されています。そのまま両建てを進めると2つ目がポジションは決済注文として処理されるため、両建てする際はヘッジモードへの変更を事前に済ませてください。
Bybitで両建てする方法【デバイス別で紹介】
ここでは、デバイス別にUSDT-M無期限契約を使った両建ての方法について解説します。以下の条件をもとに実際に取引しながら解説していくので、ぜひ手順を参考に両建てを進めてみてください。
両建ての取引条件
- 通貨ペア:BTCUSDT
- マージンモード:クロスマージン
- ポジションモード:ヘッジモード
- 初期ポジション方向:買い
「まだ先物取引にチャレンジしたことがない」という方は、ぜひ「Bybitの使い方完全ガイド」から先物取引の手順について理解しておいてください。
【PC】Bybitでの両建て方法







初期ポジションを建てたら、ある程度利益が乗ってきた段階で反対注文を進めます。初期ポジションと同じ通貨ペア・同じ取引数量で売り注文を行いましょう。

両建て後は、タイミングを見計らってどちらかのポジションを決済します。今回は価格が上昇していくと予想して買いの初期ポジションを建てたので、ここでは売り注文の決済を進めています。

【スマホアプリ】Bybitでの両建て方法






初期ポジションを建てたら、ある程度利益が乗ってきた段階で反対注文を行います。初期ポジションと同じ通貨ペア・同じ取引数量で売り注文を進めましょう。

両建て後は、タイミングを見計らってどちらかのポジションを決済します。今回は価格が上昇していくと予想して買いの初期ポジションを建てたので、ここでは売り注文の決済を進めています。
スマホアプリ、新規ダウンロード不可に
2025年2月6日、Bybitを含む複数の海外仮想通貨取引所アプリが、日本のAppStoreから突如削除されました。その後、2月12日には日本のGoogle Play Storeからも削除されました。
関連記事:Bybit、Bitgetら海外仮想通貨取引所、日本のApp Storeから突如消滅
ストアからアプリは削除されましたが、Bybitは現在も利用可能です。すでにダウンロード済みのアプリはそのまま利用できます。スマホのブラウザやPCからの利用もおすすめです。
Bybitで両建てする際の注意点・リスク
Bybitで両建てする際は、以下の注意点やリスクを必ず押さえてください。
2ポジション分の手数料負担が必要
Bybitの両建てでは、買い・売りともに2ポジション分の取引手数料負担が必要です。
1ポジションにつき、注文と決済の2つのタイミングで手数料負担が必要になるため、合計で4回分の取引手数料が徴収される点に注意してください。
Bybitの先物取引手数料
- テイカー:0.055%
- メイカー:0.02%
例えば、BTCUSDTで注文数量10,000USDT、約定レートが80,000ドルですべてテイカー注文としましょう。その際のトータルの手数料負担は、10,000BTC÷80,000ドル×0.22%=0.000275BTC(約3,400円)になります。
注文・決済のどちらかでメイカー(指値)を活用したり、VIPプログラムを活用して手数料割引を受けるなど、手数料負担を軽くする対策が必須です。ぜひ「Bybitの手数料」から手数料を抑えるコツをチェックしてみてください。
分離マージンは強制決済リスクが高い
クロスマージンと比較しても、分離マージンは強制決済されるリスクが高い点に注意が必要です。
強制決済リスクが高い理由としては以下のとおり、分離マージンという仕組みが大きく関係しています。
クロスマージンと分離マージンの違い
- クロスマージン=1つの財布で全支出を管理
- 両建てポジションの損益が合算される
- 他ポジションの利益で損失カバーが可能=強制決済リスクが低い
- 分離マージン=個々の支出で専用の財布を用意
- ポジションは独立なので損益合算できない
- 他ポジションの利益で損失カバーできない=強制決済リスクが高い
資金効率を高めて強制決済リスクを抑えたい方は、クロスマージンを利用するのがおすすめです。ただし、強制決済時は分離マージンのように各ポジションの証拠金でなく、証拠金全体に大きな損失ダメージがある点に注意してください。
同じタイミングでの両建ては無意味
同じタイミングで両建てを行うのは、単に手数料コストがかさむだけなので要注意です。
同じタイミングでの両建ては損益がプラマイゼロとなるため、取引していないのと一緒です。取引手数料だけはきっちり徴収されるので、手数料負けしてしまう両建て方法といえます。
両建ての利点=含み益を確保できる
買いポジションが含み益になっており、今後相場が一旦下がると予想した場合、反対注文を行えば現時点での含み益の確保が可能です。想定通り価格が下がってきても、売りによる利益で買いの損失を相殺できます。
両建てをする意味やメリットを考えて、反対注文を進めるタイミングをずらしてください。ただし、同じタイミングで両建てして利益を得る応用的な方法もあるので、こちらは両建てを活用したおすすめ戦略で紹介します。
Bybitの両建てを活用したおすすめ戦略
実際にBybitの両建てを使ってどんな戦略で取引を進められるのかは、取引に慣れていない初心者の方が悩むポイントです。ここでは、両建てを活用したおすすめの戦略方法を共有します。ぜひ参考にしてみてください。
トレンド発生中の短期的な戻りを狙う
トレンド方向と反対に動くタイミングを狙い、両建てによって短期的な利益を狙いに行く戦略です。

上記の図のとおり、トレンド発生中にポジションを持ち、ある程度含み益が出ている状態であることがポイント。うまく両建てできれば、買いポジションの含み益を確保しつつ、さらに利益を上乗せできます。
注意点としては、反対注文をどこで決済するかをあらかじめ決めておくこと。短期的な動きはやがて長期的な流れに収束していくため、決済判断が遅れると反対ポジションで含み損を抱えてしまいます。
決済タイミングのおすすめ
- 短期足が下落トレンドなら、安値を切り上げたポイントで決済
- 短期足が上昇トレンドなら、高値を切り上げたポイントで決済
上記はあくまで決済タイミングの一例です。インジケーターや過去に意識された価格ラインなどを参考に、自分なりのルールを決めて反対注文の決済を進めてみてください。
レンジ上限・下限のブレイクを狙う
レンジ上限・下限で指値を使い、伸びてきた方向で取引を進めていく戦略です。レンジの上限・下限には利確・損切り注文が溜まりやすいため、上抜け・下抜けをきっかけに大きくブレイクすることが珍しくありません。

上記の図では、今後レンジ上限をブレイクしてくると予想して、レンジ上限付近で買い・売りの指値を設定しています。そのままレンジ上限を大きくブレイクしてくれば、買いポジションを継続して売りの指値注文をキャンセルするといった流れです。
レンジ上限をブレイクできなかったら?
レンジ上限で価格が反転した場合は、売り目線に切り替えて指値約定を待ちます。売りの指値が約定したら、買いの指値をキャンセルし、レンジ下限までの利幅を狙っていくのがおすすめです。
注意点としては、一旦レンジをブレイクした後に戻ってくる可能性がある点です。両方の指値が約定する可能性があるため、状況に応じて指値注文のキャンセルやエントリーポイントの見直しを進めてください。
資金調達料でコツコツ利益を獲得する
ロング・ショートともに同等の損益が生まれるポジションを持ち、資金調達料(ファンディングレート)をコツコツ稼ぐ応用的な戦略です。
資金調達料は「ポジションを維持するための手数料」と考えればOK。資金調達率という指標がプラス・マイナスかで、手数料を支払うか・受け取るかが決まります。

資金調達料の受け取り・支払い
資金調達率 | ロングポジション | ショートポジション |
---|---|---|
プラス | 手数料の支払い | 手数料の受け取り |
マイナス | 手数料の受け取り | 手数料の支払い |
Bybitでは8時間おきに資金調達料が徴収・付与されるので、この資金調達料狙いで両建てを進めます。これまで紹介した両建てとは異なり、この戦略では現物取引(もしくは資産の入金)と先物取引の両方を活用します。
例)BTCを使った戦略の流れ
- 現物取引で一定量のBTCを購入する
- 先物取引で同量のBTCUSDTの売りポジションを持つ
- 8時間おきに資金調達料が付与されるのを待つ
仮に現物資産が目減りした場合でも、先物取引では利益が乗っているのでプラマイは実質ゼロです。ただし、資金調達率がマイナスになると手数料負担が必要になるので、定期的に先物取引画面から状況を確認しておきましょう。