ビットコイン、史上最高値更新も“売り圧力”?取引所流入増で短期警戒感

伊藤 将史
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

短期保有者による利益確定が主導、長期勢は静観の構え

オンチェーン分析プラットフォーム「CryptoQuant(クリプトクオント)」のアナリスト、Tarek J氏は15日、ビットコインが史上最高値となる12万3,000ドル(約1,815万円)を記録した後、取引所への資金流入が急増しているとの分析を公開した。

同氏はこの動きについて「短期保有者や一部のクジラによる利益確定の動きが活発化していることを示している」と分析。「このような動きは通常、局所的な天井を示唆しており、今後数日間で健全な調整または保ち合いにつながる可能性がある」との見解を述べた。

Tarek J氏が注目したのは、取引所へのビットコインの「ネットフロー(純流入量)」だ。ネットフローとは、取引所に流入したBTCの量から、流出した量を差し引いたもの。この数値がプラス(純流入)に大きく振れる場合、投資家が保有するBTCを売却するために取引所へ送金していることを意味し、一般的に売り圧力の増加を示す。

同氏が投稿したチャートを見ると、ビットコイン価格(白線)が7月14日に12万ドルに達した直後、取引所へのネットフロー(緑の棒グラフ)が顕著なプラスに転じていることがわかる。

ビットコインの価格(白線)と取引所へのネットフロー(緑=流入、赤=流出)
ビットコインの価格(白線)と取引所へのネットフロー(緑=流入、赤=流出) 出典:CryptoQuant

価格急騰時の取引所へのBTC流入は、過去にも見られた「典型的なパターン」であり、今後は「利益が確定し、弱気派が撤退し、価格が新たな底値を見つける」ターンであるという。

一方で、今回の利益確定売りはあくまで短期的な動きであり、長期的な強気トレンドが崩れたわけではないようだ。その根拠としてTarek J氏は、「機関投資家からの大幅な流出はない」ことに加えて、「ETFによる資金流入とマクロ経済センチメントは依然として良好」であるとした。

ビットコインは日本時間の7月14日に12万3,000ドルを一時突破した後、反落し、本稿執筆時点では11万9,249ドル(約1,760万円)前後で推移している。短期的な利益確定売りを経て、再び上昇トレンドに回帰できるか、今後の動向が注目される。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.63円)

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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