マーケットは米国の経済指標に振り回される展開が続く。米ADPリサーチ・インスティテュートが5日に発表した10月の全米雇用報告(通称、ADP雇用統計)によると、民間の雇用者数は4万2千人増と大幅に回復。ロイターによるエコノミスト予想の2万8千人増を上回る好結果となった。
さらに米供給管理協会が5日に発表した10月の非製造業総合指数(通称、ISM非製造業指数)は52.4と、8月ぶりの高水準を記録。こちらもロイター調査のエコノミスト予想では50.8の上昇だったため、ADP雇用統計と10月非製造業総合指数は共に米労働市場が強い状態であることを示した形だ。
2つの好結果を受けてマーケットは一時リスク選好の反応を示したのだが、6日に発表された再就職あっせん会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが発表したレポートで流れは一変。米国を拠点とする企業は10月に15万3,074人の人員削減を発表しており、これは10月としては過去20年余りで最多の数値になるという。
7日のマーケットはレポートを米国労働市場の冷え込みを示す兆候として受け取り、リスクオフの動きが加速。日経平均株価は1,000円以上の値下がりとなり、一時は50,000円を割る場面も見られた。為替相場も1ドル=153.18円と円高に動き、底値を探る動きが続いている。
政府機関閉鎖が歴代最長となる中、労働省の雇用統計発表は見送られているため、民間調査会社の指標に頼らざるを得ない状態となっている。経済状況の不透明感が強く、少しでも情報を得ようと市場参加者の注目度も高くなっているため、しばらくは経済指標に一喜一憂する動きが続くだろう。
ビットコイン、10万ドル台回復も上値追い失速

ビットコインは低調な動きが続く。5日に100,000ドル割れをした後はADP雇用統計やISM非製造業指数などの好結果を受けて上昇をしていたが、節目となる105,000ドルを超えられず再び下落を開始。7日14時時点では102,000ドル台と安値圏を推移している。
リスク選好時も投資家は株式市場への積極投資を選んでいたため、単に米労働市場の冷え込みによる米経済成長の減速だけが低迷の要因ではないと思われる。トレードに際してはテクニカルよりもファンダメンタルズを優先して、株・為替との関係にも注視しながら戦略を練る必要があるだろう。
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