30日、米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談が韓国・釜山の韓国空軍施設内で終了した。会談は約2時間ほど行われ、対立が続くアメリカの追加関税や中国のレアアース輸出規制について協議したとみられる。
会談の冒頭では対立している貿易摩擦の緩和について楽観的な見方を示していたが、終了後も具体的な合意内容などが明らかになっておらず、投資家の間には警戒感が残っている。
また、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、29日に行われたFOMC後の記者会見で「12月会合での追加利下げは既定路線ではない」との警告を発した。予想外の金融引き締め発言であったため、マーケットに大きなインパクトを与えた。
12月利下げを期待していた投資家の間ではリスクオフの動きが先行しており、リスク資産であるビットコインは下落、安全資産であるゴールドは上昇の動きを見せている。
米中首脳会談はビットコインの好材料とはならず、一時11万ドル割れ

29日のFRBパウエル議長の発言を受けて、ビットコイン価格は11万ドルを割り込んだがすぐに回復。しかし、米中首脳会談が終了しても期待されていた貿易摩擦の緩和に関する詳細が発表されていないため、再びリスク回避の売りが進み11万ドルを割り込んでいる。
現在は11万ドルを巡る攻防が続いており、新たな材料待ちの状況。ただし、トランプ氏は30日中にも貿易協定に署名する可能性があると述べており、実現すれば絶好の買い材料となるだろう。
ゴールドは安値圏を推移中も、リスク回避の買いが進行

ゴールドではリスク回避の買いが先行。30日には1トロイオンス=3,915ドルの安値を付けていたが、米中首脳会談の不透明感を受けてリスク回避が進み、15時時点で3,965ドル台まで上昇している。
ただし、暴落後のレンジ相場は継続中。上値は4,030ドルー4,040ドル台、下値は3,910ドル台と見られており、上値・下値は共に固い動きとなっている。ビットコインと同様に米中首脳会談の詳細が発表されない限りは方向感が出にくいだろう。
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