“本格的な強気相場”を支える3つの要因
5日、ビットコイン価格が史上最高値を更新し、市場に熱狂が広がっているなか、複数のアナリストや市場関係者が、今回の価格上昇は単なる投機的な動きではなく、これまでとは質の異なる「本物の強気相場」の始まりであるとの意見を述べている。
価格上昇の主役は現物ETF
著名アナリストのWill氏は6日、今回の価格上昇の推進力がこれまでと根本的に異なると指摘した。
同氏は「このビットコインの動きで最も強気な点は、企業の財務資産やデリバティブの投機家によって引き起こされたのではなく、現物ETFの買いによって推進されたことだ」と分析。これは、マクロ経済を分析するポートフォリオマネージャーやファンドが、コモディティや小型株からビットコインへ資金をローテーションさせている可能性が高いとの見方を示した。
同氏が投稿に添付した画像でも、9月29日以降ビットコインETFへの流入が急増していることがわかる。
短期的な投機ではなく、長期的な視点を持つ機関投資家からの安定した資金流入が、今回の相場をより持続可能なものにしているというのが同氏の主張の核心である。
力強いファンダメンタルズと流動性、市場参加者の増加
ブロックチェーン分析企業の「Swissblock(スイスブロック)」は5日、今回のラリーが「強力なファンダメンタルズ、安定した流動性、そしてオンチェーン上での確信の回帰(多くの投資家が『ビットコインはまだ上がる』と強く信じていること)」によって築かれたものであるとした。
同社は、9月30日時点の市場分析を引用し、「当時、価格は弱く見えたが、水面下では底が形成されていた」と指摘。同社が提示したチャートでは、最近になって流動性と市場参加者(ネットワーク成長度)が共に力強い状態にあることが示唆されており、価格上昇の健全な背景を物語っている。
強気相場を示すデータ──クジラと機関投資家の需要拡大
ブロックチェーン分析プラットフォーム「CryptoQuant(クリプトクオント)」のアナリスト、ジュリオ・モレノ氏は6日、独自の指標である「ブルスコア」が80に達し、ビットコインが明確に強気相場入りしたことをデータで示した。
同氏が示したチャートでは、過去にブルスコア(紫色)が強気とされる基準値60を超えた際に、価格(黒線)が上昇する傾向が見て取れる。直近のスコアは急上昇しており、過去の強気相場と同様のパターンに入ったと分析したようだ。
同氏が言及した10月1日付のレポートによると、強気相場を裏付ける複数の要因が確認できる。
- 現物需要の拡大:ビットコインの需要は7月から拡大基調にあり、過去の強気相場(2020年、2021年、2024年の第4四半期)で見られた状況と一致している。
- クジラとETFの需要加速:クジラ(大口投資家)のビットコイン保有量は今年33.1万BTCのペースで増加しており、これは2024年第4四半期の25.5万BTCを上回る勢いである。ETFによる需要も同様に加速する可能性がある。
これらのデータは、個人投資家だけでなく、市場に大きな影響力を持つ大口・機関投資家が積極的に買い進めている現状を浮き彫りにしている。
以上の3つの要因は、現在のビットコイン市場が、短期的な投機熱だけでなく、より長期的で構造的な変化の波に乗っていることを示唆している。今回の最高値更新が、アナリストの分析通り持続的な強気相場の始まりとなるか、引き続き動向を注視しよう。
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