米国の金融緩和とドル流動性拡大が背景に
暗号資産(仮想通貨)取引所「BitMEX(ビットメックス)」の共同創業者であるアーサー・ヘイズ氏が、ビットコイン(BTC)の将来的な価格動向について強気な見解を示した。4月30日、海外仮想通貨メディア「The Block(ザ・ブロック)」が報じた内容によると、ヘイズ氏はドバイで開催中の仮想通貨イベント「Token2049」の基調講演に登壇し、2028年までにビットコイン価格が100万ドルに達する可能性を語った。
ヘイズ氏はビットコインの価格上昇を後押しする要因として、米国におけるドルの流動性拡大を挙げている。同氏は今後、米国が量的緩和の手法を通じて市場へ多額の資金供給を余儀なくされると強調。これには、現在米国が抱えている景気後退の懸念が影響しているものと考えられる。こうした背景により市場でのドル供給量が増えることで、ビットコイン価格上昇につながるとの見方だ。
またヘイズ氏は、現在の市場状況を2022年第3四半期と比較。当時、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが進む一方で、政府が保有する債券を担保に中央銀行から短期資金を借り入れる「レポプログラム」を実施したことを引き合いに出した。過去の事例からも、将来的に類似の資金供給措置が行われる可能性は否定できないだろう。
さらにヘイズ氏は、トランプ政権による関税政策とFRBの関係性についても触れている。FRBのジェローム・パウエル議長がトランプ米大統領に対して非協調的な姿勢をとっていることから、金融市場の救済に消極的な姿勢を維持する可能性があると指摘した。ただし、FRBが直接市場に介入しなくとも、相対価値ヘッジファンドが国債を買い戻す動きが進むことで市場への資金供給が行われ、結果的にドルの流動性が高まるとの見方を示している。
なお、ヘイズ氏は4月23日、自身の公式エッセイ内でビットコイン価格が底打ちしたと指摘。「過去最高値の11万ドルを突破すれば、その勢いで20万ドルに迫る展開もあり得る」との見解を示した。同氏のビットコインに対する強気な価格予測は、仮想通貨市場の投資家にとっても重要な指針となっている。
ビットコインの未来について大胆な予測を繰り広げるヘイズ氏の動向は、今後も市場の注目を集め続けることになりそうだ。米国の関税政策に大きく振り回されたビットコインだが、ヘイズ氏の言う通り今後上昇曲線を描いていくのか、その価格動向に注目していきたい。
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