米国株は土日に取引できませんが、ブロックチェーン上の株式トークンであれば週末も売買できます。
株式トークンは現物株と連動しているため、実質的に米国株を24時間取引することが可能です。
しかし、次のような疑問を持つ方も多いでしょう。
- なぜ株式トークンは週末も取引できるのか
- 株式トークンはどこで購入できるのか
- 現物株との違いや注意点はないか
結論として、株式トークンは仮想通貨の取引所などで24時間365日売買できますが、現物株と異なる点があるため注意が必要です。
本記事では、株式トークンの仕組みや取引場所、注意点などをわかりやすく解説します。週末の機動的なリスク管理やチャンス捕捉を狙う方は、ぜひ最後までご覧ください。
米国株が土日に取引できない理由
米国株が土日に取引できないのは、米国の株式市場全体が土日に閉場しているためです。NYSEやナスダックなどの米国株式市場は共通のスケジュールで運用されており、平日のみ売買を受け付けています。
土日になると、株式の約定に必要な以下のインフラも含めて完全に停止します。
- 清算機関
- 決済機関
- カストディ
- マーケットメイカー
どれか一部でも停止していると取引が成立しないため、例外的に開場する可能性もありません。
ただし、CFDや先物といった派生商品は現物株とは独立しているため、土日でも取引できる場合があります。今回紹介する株式トークンも、現物株とは異なる派生商品といえるでしょう。
24時間取引できる株式トークンの仕組み
米国株を土日にも取引できる手段となるのが、仮想通貨と似た性質をもった株式トークンです。
ここでは、24時間いつでも取引できる株式トークンの仕組みについて、4つのポイントから解説します。
株式トークンはブロックチェーン上で常時売買できる
株式トークンは、インターネット上で動くデジタルな「株価連動トークン」です。
取引の記録はブロックチェーンに保存されます。ブロックチェーンは世界中のコンピューター(ノード)が交代で処理し続ける仕組みです。そのため、基本的に24時間365日止まりません。
株式トークンを扱う仮想通貨取引所や分散型取引所(DEX)も、ブロックチェーンを利用しており、つねに稼働しています。スマートコントラクトという自動取引の仕組みが働くため、土日や深夜でも注文・売買できます。
株式トークンが週末でも取引できるのは、つねに動き続けているブロックチェーン上で市場が作られているからです。
オラクルを使って現物米国株の値動きを反映している
株式トークンには、特定の現物株と紐づいているという性質があります。そのため、米国株と紐づいた株式トークンは、元になる米国株の価格を基準に動きます。
トークンの価格を決めるために必要なのは、現物の株価データをブロックチェーン側に届ける仕組みです。この仕組みはオラクルと呼ばれています。
オラクルを用いた価格取得の方式は以下のように種類があり、採用されている方式はトークンや取引所によって異なります。
- 仮想通貨取引所の社内サーバーから取得したリアルタイム価格を参照
- Chainlinkなどの分散型オラクルから株価データを読込
- 取引所内のトークン価格とオラクルの情報を組み合わせて価格を計算
- リアルタイム価格ではなく、先物や株価指数の価格を参考
- 強制ロスカットや清算のみオラクルの株価を使って判定
高速性や透明性、公平性などメリットが異なるため、方式の違いは一長一短です。場合によっては、実際の株価との価格乖離が起きることも。
CFDと同様に株主としての権利は得られない
同じ銘柄名でも、現物株とCFDと株式トークンでは投資家が持てる権利が大きく違います。
以下の表は、保有方法による権利の違いをまとめています。
| 項目 | 現物株 | CFD | 株式トークン |
|---|---|---|---|
| 議決権 | あり | なし | なし |
| 権利確定日 | あり | なし | プロジェクトによる |
| 配当 | あり | あり(調整金として) | プロジェクトによる |
株主の権利を持ち、株主名簿に記載されるのは、現物株を保有している場合のみです。株主としての権利を求めるのであれば、現物株を購入するべきでしょう。
CFDや株式トークンは、株価の変動に応じて配当を得られる可能性があります。
株式トークンの配当は独自ルールで付与される
株式トークンの世界では、配当の扱いやルールがプロジェクトごとに異なります。
以下は、実際にプロジェクトが採用している配当方法の一例です。
- 実際の配当に相当する金額のトークンを支払う
- 配当をトークン価格に織り込む(トークンは配布しない)
- 配当が存在しない
- 取引所独自の報酬トークンが代わりに付与される
- ガバナンス投票で配当方法を決める
配当に関するルールは、利益の最大化を狙う上で重要なポイントとなります。株式トークンへの投資を検討する際は、独自のルールを必ず確認しましょう。
米国株トークンを扱う主な仮想通貨取引所・DEX
ここでは、株式トークンを扱っている主な中央集権型仮想通貨取引所や分散型仮想通貨取引所(DEX)を6つ紹介します。
いずれも海外のプラットフォームであり、日本の金融商品取引業者としては認められていません。利用しても違法にはなりませんが、資産保護やトラブル対応の仕組みが日本の証券会社ほど整備されておらず、保障がない場合が多いです。
以下を含め、株トークンを扱うプラットフォームを利用する際は、安全性を確認しながら自己責任で利用してください。
Bitget|主要米国株トークンで板が厚く約定しやすい

Bitget(ビットゲット)は海外の大手仮想通貨取引所のひとつで、株式トークンやそれに近い商品を幅広く扱っています。
利用者が多く板が厚いため、成行注文でも約定が安定しやすく、スプレッドも比較的狭くなりやすいです。アプリやWeb画面のレイアウトが株式の板に近く、米国株を証券会社で取引していた人にとって違和感が少ない点もメリットといえます。
米国株のように成行・指値を使い分けながらスムーズに売買したい人に向いているでしょう。
| 取引所名 | Bitget |
| URL | https://www.bitget.com/ja |
| 種類 | CEX(中央集権型取引所) |
| ブロックチェーン | マルチチェーン対応(BTC、ETH、TRONなど) |
| 取扱商品 | ・米国株無期限先物・株価指数系無期限先物・仮想通貨の現物・無期限先物 |
| 流動性 | 多い |
| レバレッジ上限 | 最大約125倍 |
MEXC|米国株トークンの上場数が最も多い水準

MEXCは、取扱銘柄の多さで知られる海外取引所です。
他の取引所と比べて米国株やETFをトークン化した銘柄が豊富で、個別株からテーマ銘柄まで幅広くアクセスできます。多くの銘柄を比較しながら取引したい人に向いているでしょう。
ただし、トークンの出来高は銘柄によってバラつきがあります。板の厚さと出来高は必ず確認してから利用してください。
| 取引所名 | MEXC |
| URL | https://www.mexc.com/ja-JP/ |
| 種類 | CEX(中央集権型取引所) |
| ブロックチェーン | マルチチェーン対応(ETH、BSC、TRONなど) |
| 取扱商品 | ・米国株無期限先物・ETFトークン・仮想通貨の現物・無期限先物 |
| 流動性 | 多い |
| レバレッジ上限 | 最大約200倍 |
Hyperliquid|株価指数を24時間売買できるオンチェーン板取引所

Hyperliquid(ハイパーリキッド)は、中央集権型取引所と比較しても遜色のない、トレード環境を誇る分散型取引所です。
株価指数や株式を24時間売買できる無期限先物商品を扱い、スプレッドの狭さや約定の速さが大きな特徴です。米国株の短期売買に慣れている人にとっては、値動きのスピードや高いレバレッジを活用できる点が魅力になります。
利用時は通常のDEX同様、ウォレット接続やネットワーク切替といった分散型プラットフォームならではの操作が必要です。
| 取引所名 | Hyperliquid |
| URL | https://app.hyperliquid.xyz/trade |
| 種類 | 分散型取引所(DEX) |
| ブロックチェーン | Hyperliquid(独自チェーン) |
| 取扱商品 | ・株式(株価指数)パーペチュアル・仮想通貨パーペチュアル |
| 流動性 | 非常に多い |
| レバレッジ上限 | 最大約50倍 |
Trade[XYZ]|Hyperliquidを簡単なUIで操作できる
![Trade[XYZ]|Hyperliquidを簡単なUIで操作できる](https://jinacoin.ne.jp/wp-content/uploads/2025/12/us-stock-trade-weekend_04.jpg)
Trade[XYZ]は、Hyperliquidをより扱いやすくするための外部フロントエンドです。
本体のHyperliquidは高機能ですが操作が複雑になりやすいです。これに対しTrade[XYZ]では板やチャートをシンプルに表示し、初心者でも直感的に扱えるように設計されています。
Hyperliquidの高速約定や狭いスプレッドはそのまま利用でき、UIだけが分かりやすくなっている点が特徴です。
DEX特有の操作を覚えながらも、なるべく負担を抑えてHyperliquidを使いたい人に向いています。
| 取引所名 | Trade[XYZ] |
| URL | https://app.trade.xyz/trade |
| 種類 | DEX(UI) |
| ブロックチェーン | Hyperliquid(Hyperliquidと同じ基盤) |
| 取扱商品 | ・株式(株価指数)パーペチュアル・仮想通貨パーペチュアル |
| 流動性 | 非常に多い(Hyperliquidと連動) |
| レバレッジ上限 | 最大約50倍 |
Ostium|RWA商品に特化した分散型取引所

Ostium(オスティウム)は、株式や為替などのリアルワールド資産(RWA)に特化した分散型取引所(DEX)です。
Hyperliquidと比べると、個別の株価に連動した商品が提供されている点が特徴。
現実の市場価格を正確にトレースすることを最優先としているため、より現物株に近い感覚で取引できます。
週末や夜間のヘッジ手段を探している、株式の中上級者に向いているでしょう。
| 取引所名 | Ostium(オウスティウム) |
| URL | https://app.ostium.com |
| 種類 | DEX |
| ブロックチェーン | Arbitrum(EthereumのL2) |
| 取扱商品 | 株価指数パーペチュアル、米国株パーペチュアル、仮想通貨パーペチュアル |
| 流動性 | 中 |
| レバレッジ上限 | 最大約200倍 |
米国株トークン取引の主なリスク
ここでは、米国株トークンを取引するうえで特に注意したいリスクや注意点を解説します。
- 流動性が薄い時間帯は価格が乖離しやすい
- レバレッジでは急変動でロスカットしやすい
- 取引所やプロトコル破綻で資産を失う可能性がある
- 規制変更やサービス終了で取引不可になることがある
- 損益と税金の扱いが複雑化し申告が必要になる
流動性が薄い時間帯は価格が乖離しやすい
流動性が低下すると注文が通りにくくなり、少ない売買でも価格が大きく動いて現物株との乖離が生じやすくなります。
株式トークンにおける流動性とは、売買の成立しやすさを示す指標です。以下のような複数の要因が絡み、現物株以上に変動しやすい特徴があります。
- 板厚
- 出来高
- LP供給量
- AMMプール
- 清算量
- オラクル更新頻度
特に深夜帯や参加者の少ない局面では、売値と買値の差(スプレッド)が広がりやすく、思わぬ価格で約定するリスクがあります。
流動性の構造を理解したうえで、値動きが安定しやすい時間帯に取引する意識をもちましょう。
急変動が多いためレバレッジではロスカットが起きやすい
仮想通貨市場は急変動しやすいため、現物株と比べてレバレッジによるロスカットが発生しやすいです。
急変動しやすい主な理由は以下3つです。
- 市場規模が小さいため少ない資金でも動きやすい
- 深夜や週末など時間帯により参加者が偏る
- レバレッジの普及率が高いため清算連鎖が起きやすい
複数の要因が重なると、わずかな逆行でも証拠金が急減し、想定以上のスピードで清算されるケースも。
株よりもロスカットのリスクが高い傾向にあるので、株取引と同じ感覚でレバレッジをかけると危険です。証拠金を厚めにするなど、急変動を前提とした対策を講じましょう。
取引所やプロトコル破綻で資産を失う可能性がある
仮想通貨の世界では、運営側のトラブルによって資産を失うリスクが大きいです。
中央集権型取引所(CEX)では、経営破綻やハッキングによって、預けていた資産が引き出せなくなるケースが過去に何度も起きています。2022年11月に起きた仮想通貨取引所FTXの破綻では、債権者数は100万人を超えるとされており、2024年10月に承認された再建計画に基づき、2025年1月から段階的に弁済が開始されています。98%の債権者は元本の118%以上を現金で受け取れる見込みです。
分散型プロトコルでは、システムのバグや攻撃によって、プールされている資金が流出した事例が存在します。2025年11月にはBalancer V2が攻撃を受け、1億ドル超の仮想通貨が流出したと報じられました。
こうしたトラブルが発生しても保障を受けられない可能性があるため、自分で資産を守るように管理しましょう。複数の取引所やウォレットに資産を分散しておくと、被害を抑えやすくなります。
規制変更やサービス終了で取引不可になることがある
仮想通貨や株式トークンに関するルールは、各国でまだ整備が続いている途中の段階です。そのため、以下のような要因により突然取引できなくなる場合があります。
- 規制対応によりサービス提供が終了した
- 取引所の運営継続が困難になり閉鎖した
- オラクルやシステムの不具合で価格が取得できなくなった
中央集権的な取引所では、取引所の運営が続いていても日本人は利用できなくなるケースがあります。Binance JapanやOKJのように、日本の規制に対応した取引所が代わりに提供されるパターンも。
長年のルールでがっちり固まった米国株とは違い、仮想通貨の世界では仕様変更や上場廃止のスピードが速いです。短期間でルールが変わることを前提として考え、長期間保有したいポジションもすぐ乗り換えられるように準備しておくとよいでしょう。
損益と税金の扱いが複雑化し申告が必要になる
現物株と株式トークンでは税金の扱いが異なるため、申告の際は注意が必要です。
米国株を日本の証券会社で取引している場合、年間取引報告書などをもとに損益や税金をまとめられます。
一方、仮想通貨や株式トークンの売買益は雑所得として扱われる可能性が高く、損益や税額を自分で計算しなければなりません。取引するタイミングでの円換算レートなどを計算に使うので、過去すべての取引記録を保管する必要があります。
基本的に株式トークンのほうが複雑で、取引量が多くなると手間が大きく増えると考えておきましょう。計算が難しい場合は、仮想通貨に詳しい税理士との相談も視野に入れてください。
よくある質問
米国株トークンに関する、よくある質問と回答を紹介します。
株式トークンには、現物株の配当権利は反映されないと考えておきましょう。
一部のプロジェクトでは現物株に合わせた配当をトークンで分配しています。しかし、多くの場合は独自ルールが導入されており、本来の分配を得られない可能性があります。
株式トークンを購入する際は、どのように配当が反映されるかを事前に確認してください。
パーペチュアルは、期限のない先物のような商品です。指数や仮想通貨の値動きにレバレッジをかけて売買できます。
満期がないため、株の先物取引のように期限を気にする必要がなく、価格の上昇と下落のどちらにも柔軟にポジションを取れます。
多くのパーペチュアルでは資金調達料(Funding)と呼ばれる仕組みがあり、買い手と売り手のどちらかが市場のバランスに応じて費用を支払う設計になっています。
短期の値動きを積極的に狙いたい人には使いやすい一方、レバレッジを高くすると急変動で清算されやすいリスクがあります。まずは小さな倍率で仕組みに慣れましょう。
価格の変動については、プロジェクトごとに異なります。米国株の現物市場は土日や祝日に完全に止まっており、公式な株価が更新されないからです。
株価が動いていなくても株式トークンはつねに取引されており、トークン自体の需給バランスによって価格は変動します。そのため、現物株の終値から短期的に大きく離れる場合も。
週明けの寄り付きで価格にギャップが出るという前提をもち、週末のポジション管理や注文の置き方にはいつも以上に注意しましょう。
米国株トークンの価格が現物株とずれてしまう主な理由は、流動性と裁定取引の働き方にあります。
参加者が多く、売りと買いが活発な市場では、現物株との価格差が出てもすぐに売買が入って差が縮まりやすいです。一方で、参加者が少なく板が薄い市場では、少し大きめの注文が入っただけで価格が大きく動き、その状態がしばらく続くことがあります。
また、週末や祝日など現物株が動いていない時間帯は、裁定取引を行うトレーダーも動きにくく、乖離が残ったままになる場合があります。
価格乖離のリスクを減らすには、出来高が多い銘柄や取引所を選び、板の状態を確認しながら、無理のない範囲で注文を出しましょう。
株トークンは雑所得として扱われる可能性が高く、給与所得や事業所得などと合算したうえで総合課税の対象となります。一方、現物株は総合課税から切り離された申告分離課税です。
総合課税と申告分離課税の大きな違いは、累進課税かどうかです。総合課税は所得が増えるほど税率が増えますが、申告分離課税では一律となっています。
| 方式 | 総合課税 | 申告分離課税 |
| 所得税 | 5~45% | 15% |
| 住民税 | 10% | 5% |
| 復興特別所得税 | 所得税×2.1% | 0.315% |
| 最終的な税率 | 最大で約56% | 一律で約20% |
総合課税の所得税率は以下のように変動します。
| 課税される所得金額(1,000円未満の端数切捨) | 税率 | 控除額 |
| 1,000~194万9,000円 | 5% | 0円 |
| 195万~329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
| 330万~694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
| 695万~899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
| 900万~1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
| 1,800万~3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
(参照:国税庁)
また、損失の繰越控除や損益通算の範囲も異なり、仮想通貨の損益は株式やFXとは相殺できません。
現物株と比べて株式トークンは税的に不利な部分が多いため、取引する際は慎重に検討しましょう。
ただし、仮想通貨への分離課税導入が検討されており、2026年度の税制改正大綱に盛り込む方向で調整が進んでいます。
現物の米国株と株式トークンは得意な役割があるため、両方を併用するメリットがあります。
現物株は、議決権や配当を含めた株主としての権利を持ちながら、長期でじっくり保有するスタイルに向いています。一方株式トークンは、土日や夜間も含めて24時間いつでも売買しやすいことから、短期の値動きに対応しやすいです。
これらの特徴を組み合わせることで、主な資産は現物株で持ちつつ、週末のポジション調整や短期トレードに株式トークンを用いるといった運用が考えられます。
それぞれのリスクや税金の扱いを整理し、自分なりのルールを決めて運用することが大切です。



