インスタントメッセージアプリ「テレグラム」の創設者パベル・ドゥロフ氏は29日、ドバイで開催中の「Blockchain Life 2025」に登壇し、新たなネットワーク「Cocoon(コクーン)」の構想を発表した。
ドゥーロフ氏の狙い、通信からAI計算へと領域拡張
コクーンは、TON(トン)ブロックチェーンを基盤として構築される「Confidential Compute Open Network(機密コンピューティング・オープンネットワーク)」だ。このネットワークの主な目的は、ユーザーがプライバシーを維持したままAI関連の計算処理を安全に実行できる環境を提供することにある。
ドゥロフ氏によると、コクーンの計算リソースはGPUベースのマイニングによって分散的に共有されるという。これにより、ユーザーは自身の機密データを保護しつつ、安全な環境下でAIモデルやサービスを利用するための計算処理を実行することが可能になると見込まれる。
コクーンの今後の開発において、ドゥロフ氏は「テレグラムが積極的な役割を果たす」と明言。エコシステム全体でプロジェクトを推進していく方針を示した。なお、コクーンの一般公開については、2025年11月を計画しているという。
また、ドゥロフ氏はコクーンの基盤となるテレグラムエコノミーの驚異的な成長についても触れている。同氏によると、サードパーティ開発者が「テレグラム・ミニアプリ」を通じ、過去1年間で生み出した総収益が10億ドル(約1500億円)を超えたという。この実績は、テレグラムが既に巨大な経済圏を形成していることを裏付けている。今後コクーンが導入されることで、その成長が一層加速していく可能性も考えられそうだ。
テレグラムとTONが築いてきた分散型の基盤に、AIと機密コンピューティングという新たな要素が加わることで、次世代のインターネットインフラの形成が期待される。コクーンが目指す「安全で開かれたAI計算環境」の実現が分散型市場とテレグラムエコシステムにどのような影響をもたらすのか、今後の動向に注目したい。
関連:テレグラムCEOパベル・ドゥロフ氏「ビットコインは100万ドルに達する」
関連:テレグラム関連銘柄に注目──アルファトンが約106億円調達でTON大量保有
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153円)




