ベルギーに本社を置く国際的な銀行間取引ネットワーク「SWIFT(スウィフト)」は29日、国境を超えた支払いの高速化や多様なデジタルマネーをサポートするシステムを、世界の30以上の銀行と協力して開発していると発表した。
ステーブルコインやCBDCとの相互運用も計画
SWIFTは、国際間送金の近代化にはブロックチェーンベースの「共有デジタル台帳」が不可欠だと強調し、各機関と協力して構築を急いでいると述べた。
同ネットワークはすでに200カ国以上で利用され、11,000を超える金融機関が参加している。その広がりによって、世界の送金ネットワークを支えている。2022年時点で年間約150兆ドル(約2京2,315兆円)の国際送金を処理しており、その規模と信頼性は際立っている。
プロジェクトの詳細なスケジュールはまだ未定だが、まずは24時間・年中無休で稼働できる国際間決済の構築を目指す。現在は着金まで数日かかる国際送金を、将来的には即時処理できる仕組みへと進化させる計画だ。国際送金は一般的に中継銀行を経由するが、そのプロセスを簡素化することでコスト低下につながる可能性もある。
SWIFTはまた、ステーブルコインやトークン化された銀行預金、中央銀行デジタル通貨(CBDC)と既存システムを相互運用可能にする構想も示した。これは最近の実証実験の成果を踏まえ、次の段階へと進められている取り組みだ。
仏メディア「The Big Whale(ザ・ビッグ・ホエール)」の共同創業者でジャーナリストのグレゴリー・レイモンド氏の報道によれば、最近の試験運行ではイーサリアムのL2チェーン「Linea(リネア)」が採用され、現在はゼロ知識証明技術を活用したプライバシー保護の仕組みも検討されているという。
新たなデジタル台帳の設計と構築には、「J.P. Morgan Chase(JPモルガン・チェース)」「HSBC」「Deutsche Bank(ドイツ銀行)」「Mitsubishi UFJ Financial Group(MUFG、三菱UFJフィナンシャル・グループ)」「Banco Santander(サンタンデール銀行)」「OCBC Bank(オーバーシー・チャイニーズ銀行)」などが名を連ねており、中東およびアフリカ地域の複数の銀行も参画している。
ブロックチェーン技術が国際金融インフラに組み込まれる可能性は一層高まっている。こうした動きが進めば、暗号資産(仮想通貨)も「投機対象」から「実用的な決済手段」へと評価が広がり、市場の活性化につながる可能性があるだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.77円)