世界最大のビットコイン保有企業ストラテジー(MSTR、旧マイクロストラテジー)は7日、ユーロ建て優先株「STRE」のIPO価格を決定したと発表した。11月6日に775万株を1株80ユーロで価格決定し、総額約6億2,000万ユーロ(約7億2,000万ドル、約1,110億円)を調達する。11月13日に決済予定だ。
同社は11月4日に当初350万株の発行計画を発表していたが、今回775万株へと約2.2倍に増額した。需要が予想を上回ったとみられる。
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ビットコイン購入資金を調達
ストラテジーは引受手数料などを差し引いた純調達額を約6億880万ユーロ(約7億540万ドル、約1,080億円)と見込んでおり、調達資金はビットコインの購入および運転資本を含む一般事業目的に充当する。
同社は11月3日時点で64万1,205BTCを保有しており、平均取得単価は6万6,384.56ドル、総取得コストは331億3,900万ドルに達している。「世界初で最大のビットコイン・トレジャリー・カンパニー」を標榜し、ビットコインを主要な財務準備資産として採用している。
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STREは額面100ユーロに対して年率10.00%の累積配当を支払う永久優先株で、配当は2025年12月31日から3月末、6月末、9月末、12月末の四半期ごとに現金で支払われる。
配当が未払いの場合、複利配当が発生する仕組みとなっている。当初の複利配当率は年率11%(基本10%+100ベーシスポイント)で、その後未払いが続く四半期ごとに100ベーシスポイントずつ上昇し、最大年率18%に達する。この仕組みにより、配当未払いに対するペナルティが段階的に強化される。
ストラテジーが配当を宣言しなかった場合、自動的に延期通知が発行される。その後60日間、同社は8.00%シリーズA優先株、10.00%シリーズA優先株、クラスA普通株式などを売却し、延期配当と複利配当をカバーする資金調達に商業的に合理的な努力を払う義務を負う。
償還権については柔軟な設計となっている。ストラテジーは発行済み株式数が当初発行総数の25%未満となった場合、または特定の税務事由が発生した場合に全株を償還できる。償還価格は償還通知送付日前営業日時点の清算優先価額に未払配当を加えた額となる。
また、「ファンダメンタル・チェンジ」(支配権変更など)が発生した場合、株主は額面価格に未払配当を加えた価格で買い戻しを請求できる権利を持つ。
清算優先価額は当初1株あたり100ユーロだが、各営業日の終業時点で以下の3つのうち最大値に調整される:(1)額面価格、(2)STREの発行取引がある場合は前営業日の終値、(3)直近10営業日の平均終値。この仕組みにより、市場価格が上昇した場合に清算優先価額も上昇する。
バークレイズ・バンク、モルガン・スタンレー、メリス&カンパニー、SGアメリカス・セキュリティーズ、TDセキュリティーズ、カナコード・ジェニュイティ、ストーンXフィナンシャルが共同主幹事を務める。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ユーロ=177.48円、1.1586ドル)




