東証グロース上場の株式会社モブキャストホールディングス(3664)は3日、暗号資産ソラナ(SOL)への戦略的投資を柱とした「ソラナ・トレジャリー事業」の開始を発表した。第三者割当による新株予約権発行で調達する資金のうち、5.5億円をソラナ購入費用や事業開発費に充当する計画だ。
上場維持と新収益源確立を目指す戦略転換
モブキャストは事業開始の目的として「株主価値の最大化と上場維持基準の達成」「次なる収益エンジンの確立」「コア事業との将来的な連携」の3点を掲げた。
同社は過去にブロックチェーンゲーム事業への参入を検討したが市場環境の未成熟により見送った経緯がある。しかし「近年のブロックチェーン技術の外部環境成熟」と「コア事業の『ソーシャル・エンターテイメント&メディア事業』への進化」を受け、Web3領域への本格参入の好機が到来したと判断した。
ソラナ選択の戦略的理由
数ある暗号資産の中でソラナを選択した理由として、同社は3つのポイントを挙げている。
技術面では「1秒間に数千件以上の取引処理能力」と「1件当たり数円未満の極めて低い取引コスト」を評価し、大規模なファンが参加できるWeb3エコシステム構築に寄与するとした。
収益面では、保有ソラナの一部をステーキングに提供することで継続的な報酬を受け取り、キャピタルゲインと併せてインカムゲインの創出を目指す。
また、米国で2025年9月にSECが暗号資産ETFの上場プロセスを標準化したことを踏まえ、「市場参加者の裾野拡大が見込まれる環境変化を成長機会として捉える」としている。
「ソーシャルインパクトパスポート」NFT構想
将来的な展開として、ソラナを活用した「ソーシャルインパクトパスポート」NFTの発行を企図している。ファンの社会貢献活動(環境配慮商品購入、引退馬支援など)を改ざん不可能なNFTとしてデジタルパスポートに記録する仕組みだ。
これにより、ファンは自身の社会貢献を可視化でき、貢献度に応じた特別な体験も得られる。同社は「ファンとの絆を強固にし、熱量の高いコミュニティ形成に寄与する」と期待を示している。
モブキャストの発表は、国内上場企業による暗号資産トレジャリー戦略の新たな事例として注目される。ソラナの技術的優位性を活用した既存事業とのシナジー創出が今後の焦点となりそうだ。
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