ビットコイン財務戦略企業で東証スタンダード上場のメタプラネット(3350)は13日、2025年12月期第3四半期決算を発表した。親会社株主に帰属する四半期純利益は135億2,800万円となり、前年同期の3億2,100万円の損失から大幅な黒字転換を果たした。
同社は2024年4月にビットコイントレジャリー企業への転身を宣言し、ビットコインを準備資産として保有する「ビットコイン・スタンダード」体制を採用。第3四半期累計期間においてビットコイン評価益206億4,400万円を計上し、これが業績を大きく押し上げた。第3四半期連結累計期間の売上高は45億1,700万円(前年同期比1,702.1%増)、営業利益は27億4,800万円(前年同期は1億8,300万円の損失)、経常利益は232億2,900万円(前年同期は3億1,100万円の損失)となった。
BTC保有高は30,823BTCに拡大、1株当たり保有量は6倍に
第3四半期末時点でのビットコイン保有高は30,823BTCに達し、完全希薄化後1株当たりBTC保有量は0.0214885BTCとなった。これは前年末(2024年12月末)の0.0035987BTCから約6倍に上昇したことを示す。同社が重視する主要指標「BTCイールド」は第3四半期で33.0%を記録し、株式希薄化を考慮してもなお1株当たりのBTC保有量が大幅に増加したことが確認された。
2025年6月に発行した新株予約権のうち1億5,600万株が行使されたほか、9月には3億8,500万株の海外募集を実施。これらの資金調達によりBTC蓄積ペースが加速し、第3四半期のBTCゲイン(取得量)は4,412BTC、BTC円ゲインは741億5,800万円に達した。
さらに同社は10月31日、10月28日に締結したクレジット・ファシリティ契約に基づき1億ドル(約154億円)の借入を実行したと発表。保有する30,823 BTC(約35億ドル相当)を担保として差し入れ、調達資金はビットコインの追加取得やインカム事業、自己株式の取得に充当する予定だ。
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株価は高値から78%下落、JPX規制報道で一段安
一方、同社の株価は13日、前日比28円安(6.59%安)の397円で終了した。年初には約420%急騰したものの、6月中旬に付けた上場来高値1,930円から約78%下落し、厳しい調整局面が続いている。

13日にはブルームバーグが日本取引所グループ(JPX)の暗号資産トレジャリー企業への規制強化検討を報じ、同社株は一時8.7%下落した。報道によると、JPXは裏口上場防止ルールの厳格化や新たな監査義務化などを検討しており、9月以降、上場企業3社が暗号資産購入計画を保留したという。
これに対し、同社の代表取締役社長サイモン・ゲロビッチ氏はX(旧ツイッター)で「当社メタプラネットは、この約2年で5回の株主総会を開催し、すべての重要な事項について株主の承認を経て進めてまいりました」と反論。裏口上場や不十分なガバナンス手続きの事例には該当しないとの認識を示した。
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同社は優先株式の発行を視野に入れており、2025年9月1日開催の臨時株主総会でA種およびB種の永久型優先株式の発行が承認された。これらの優先株式は「メタプラネット・プレフ(Metaplanet Prefs)」と総称され、ビットコインを裏付け資産とする日本初の「デジタル・クレジット」商品として設計されている。現在、東京証券取引所への上場を目指し事前相談を開始している。




