東証スタンダード上場のメタプラネット(3350)は17日、ビットコイン収益創出事業のさらなる拡大を目的として、米国フロリダ州マイアミに完全子会社「Metaplanet Income Corp.(メタプラネット・インカム・コーポレーション)」を設立すると発表した。資本金1,500万米ドル(約22億円)で2025年9月中の設立を予定しており、デリバティブ取引を含む収益創出活動の基盤を強化する。
デリバティブ事業で収益源を多様化
新設される「Metaplanet Income Corp.」は、同社の米国持株会社「Metaplanet Holdings, Inc.」の完全子会社として設立される。事業内容はビットコイン収益創出およびデリバティブ関連業務で、以下の経営陣で運営される。
- 取締役:サイモン・ゲロビッチ(Simon Gerovich)氏
- 取締役:ディラン・ルクレア(Dylan LeClair)氏
- 取締役:ダレン・ウィニア(Darren Winia)氏
この新会社設立により、メタプラネットはビットコインインカム事業を中核のビットコイントレジャリー事業から分離し、より専門化された収益創出活動を展開することが可能になる。
世界6位のBTC保有企業が収益多角化へ
メタプラネットは現在約2万BTCを保有する世界第6位規模のビットコイン保有企業として知られている。同社は従来、ビットコイン保有による資産価値の向上を主軸としてきたが、今回の米国子会社設立により、保有ビットコインを活用したプットオプション売りなどのデリバティブ取引による定期的な収益創出を本格化させる。
同社は既に国内でもビットコイントレジャリー事業として、保有ビットコインを活用したプットオプション売り取引からプレミアム収入を得ており、今回の米国展開でこの事業モデルをさらに拡大する形となる。
今回の子会社設立は、同社が掲げる「555ミリオン計画」(2027年までに21万BTCの保有を目指す戦略)の実現に向けた重要な布石と位置づけられる。単純なビットコイン蓄積戦略から、保有資産を活用した能動的な収益創出モデルへの転換により、持続可能な成長基盤の構築を目指している。
メタプラネットは7月にも米フロリダ州に持株会社「Metaplanet Holdings, Inc.」を設立しており、今回の「Metaplanet Income Corp.」設立により、米国におけるビットコイン関連事業の体制がさらに整備される。
2025年12月期業績への影響は軽微
同社は今回の子会社設立について、2025年12月期の連結業績に与える影響は軽微としている。ただし、今後適時開示が必要な事項が発生した場合は、東京証券取引所の規則に従い遅滞なく開示するとしている。
メタプラネットは17日に「Bitcoin.jp」ドメイン取得と新会社「ビットコインジャパン株式会社」設立も発表しており、国内外でのビットコイン関連事業の総合的な拡大戦略を同時並行で推進している。単なる投資会社から、ビットコイン業界における総合的なサービスプロバイダーへの転換を図る姿勢が鮮明になっている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.995円)