2025年11月にリリースされたWeb3ゲーム(ブロックチェーンゲーム)で、北欧を舞台にしたMMORPG「Legend of YMIR(レジェンドオブユミル)」。そのレジェンドオブユミルのISEKAIサーバーを共同で買い取った一人、話題のLUCIAN(ルシアン)氏にサーバーを買い取った経緯、狙い、そしてレジェンドオブユミルの魅力などを伺いました。
取材日:2025年11月26日
仮想通貨取引からブロックチェーンゲームの世界に入り、コミュニティも運営
── 簡単に自己紹介とこれまでの職歴をお聞かせください。
クリプト関連からお話しすると、2021年ぐらいから仮想通貨の取引を始めました。きっかけは、テスラ社がビットコインを購入して話題になった時で、その際に仮想通貨に興味を持ちました。最初は楽天ポイントをただ単純にビットコインに変えたりなどしていたんですが、それじゃあ足りないと思って、25万ぐらい日本円入金し、いくつかトークンを買ってみたりとかしていました。
その後、Xでいろいろ情報収集していたらDeFiや魔界という面白い世界があると知りました。パンケーキスワップとかが、その頃流行っていましたね。そこで色々苦労しましたが割と利益が出ていました。もともと仮想通貨取引を始める前、リネージュ2レボリューションや黒い砂漠モバイルといったスマホのMMORPGをプレイしていました。その経験もあってDeFiの放置しながらお金を預けておくと数字がどんどん増えていくようなMMOの感じに、ゲームらしさを感じてすごく楽しかったです。
そこからDeFi KingdomsというGamifi要素があるブロックチェーンゲームが出てきたときに、すごい面白いと思いました。今までハマっていたDeFiにRPG要素が掛け合わさったものが出てきて、思いっきりハマりました。GameFiの先駆け的な存在に早期に取り組めたことで利益もかなり出ました。
Xを始める前からDiscordで活動していて、割と私の名前は知られていたのもあって、4月にアカウントを作成して3-4か月経過する頃には1万ちょっとぐらいフォロワー数が増えました。色々情報発信をしたり、経験談を発信したりしたのが良かったのかなと思います。それから2年して、自分のコミュニティを持つようになりました。今は運営者として関わっているコミュニティはレジェンドオブユミルのISEKAI含めて2つだけですね。
LUCIAN氏が考えるブロックチェーンゲームの魅力とは?
── 今までプレイした中で楽しかったWeb3ゲームがあればお聞かせください。
Web3ゲームの最初の入り口としては、GameFiのところで私は興味を持っているものが結構多いですね。Web3ゲームならではの要素として、トークンがあります。そのトークンの経済、すなわちエコシステムを作って回し、経済ができる部分が面白いなと思っています。
そういったGameFiの関係で言うと、Defi Kingdomsもそうですが、BlastのCrypto Valleysというゲームもそういう要素があったかなと思っています。あのゲームは種をガチャで買うんですけども、トークンでガチャを買うので種が出るのですが、当たりが出るとめちゃくちゃ稼げるみたいなものですね。そういったGameFiは最近ではRisk to Earn(リスクを取って稼ぐ)と言われてるかなって思います。他にはOnchain Heroesとかですかね。あれも結構プレイして稼げたっていう体験があります。
ゲームとして面白くて稼げたかは微妙ですが、面白かったなってWeb3ゲームで言えば、Titan Huntersというスマホのアーチャー伝説の横型版みたいなゲームですね。最初の方に見つけて投稿したスレッドがかなりバズりまして、そこから開発会社に呼ばれたり、私が日本で流行らせてくれたと記事に書いてくれたりと、盛り上がりにかなり貢献した自負はあります。開発の遅れなどもあってゲーム自体は沈んでしまいましたが、かなり惜しい作品でしたね。実際戦略性もあったり、NFT化して強化するとより稼げてより強くなったりして、当時は大変攻めてるゲームでしたのでかなり印象深い作品です。
さらに最近でいうとレジェンドオブユミルもそうですが、SeiのArcher Hunterもおすすめできる面白さなのかなと思います。スマホのアーチャー伝説みたいなゲームなんですけど、サクサク遊べて普通にゲームとしてのクオリティは高いです。色んなモードもあって楽しみの幅があります。Seiには色々とブロックチェーンゲームが実は増えてきているのですが、これは暇つぶしにはおすすめです。
レジェンドオブユミルとの出会いとISEKAIサーバー落札までのストーリー
── レジェンドオブユミルをルシアンさんが知ったのはどんなきっかけだったのでしょうか?
X(旧:Twitter)で画像が流れてきて、Mir4の開発会社であるWeMadeが、また新しいMMOをリリースするんだと思って見に行ったところ、結構面白そうな雰囲気を醸し出していたんですよね。リリース前ですし、WeMadeの以前開発したNIGHT CROWSがわりと成功していた記憶があったので。WeMadeの開発するMMORPGは、めちゃくちゃ稼げる感じではないのですが、稼ぎよりプレイ優先で面白そうならやってみようかなって考えていました。
転機は、10月のレジェンドオブユミルのサーバーオークション終了の3~4日前です。レジェンドオブユミルの出資や運営を共同で携わっているonchan(※)からお誘いのDMが来まして、詳細はレジェンドオブユミルに興味があるか、良かったらサーバー落札できるかもなのでやってみないかって内容でした。その時は、興味はあるが、実際プレイする人が来るんですかねみたいな感じで回答していました。 サーバーはフランチャイズみたいなもので、売上によって10万ドル以上は10%還元とか、50万ドル以上だと15%還元とかの条件があり、そこまで売上が作れるかという話もしながら、落札を目指す方向で考えていました。
※onchan:Japan Gaming Guild(JGG)のメンバー 現在、レジェンドオブユミルのISEKAIサーバー運営代表
── サーバー落札についても興味を持っている読者がいるはずなので、是非お聞かせください。
サーバー落札については、今回落札したISEKAIサーバーがパートナーサーバーというものなのですが、パートナーサーバーが10個、最初のリリース前の段階では用意されていました。パートナーサーバーは基本的に落札しないと手に入らないということで、オークションが何日間かかけて2つずつ計5回販売されたんですけども、我々は途中の4回目から挑み始めました。
まずはリリース前に落札資金を確保しておこうみたいな流れがあって、それでYMTトークンを知る必要がありました。ただYMTトークンはWeMixで購入するのですが、トークンを買い集めるのに大変苦労しました。YMTトークンを集める際、出費を抑えながら確保しようとしたのですが、オーダーブック形式のDEXの売り板にYMTトークンが全然並んでなくて枚数を確保することが大変でした。また、DEXの手数料がすごく高かったのです。メイカーが4%、テイカーが6%と高くて、そこも大変だった点ですね。ただ、もう資金を集め始めてしまっているので、とりあえず落札にチャレンジしちゃおうみたいな感じで割と無理矢理に集めてました。そして、5回開催の4回目に最初のオークションに挑んだんですけども、残念ながら落札できなかったんです。
そして最後の5回目のオークションに向けて、今まで落札できなかった人たちがどれくらいいるのかやYMTを多く持ってるウォレットはどれなのかみたいなのをエクスプローラーを使ってオンチェーン上で調べて資金を確保していました。また、ある意味で流動性が低いYMTトークンは買い集めるのが大変なので、すでに大量に持ってる人たちがライバルだろうと判断して挑みました。
今回のオークションは、入札すると延長する方式ではなくて、時間になった時に滑り込みで落札ができる形式だったのですよ。そのタイプだったので、なんとか滑り込みが成功して、2秒前だか3秒前だかに滑り込みました。最後のオークションの結果は、当初他の入札者が落札しましたと表示されていたんですが、オンチェーンを見てくれと運営の方にonchanに掛け合ってもらったお陰で、最終的には落札できました。2秒前に滑り込んだので、ダメだったかもしれない雰囲気だったんですけども、結果落札できたって感じになって、その日はみんな大興奮でした。
今回のオークションは、日本人以外のDaddy KimさんとHOFさんというNIGHT CROWSのトッププレイヤー達がほぼ抑えていて、これに割って入っていくのはかなり大変な戦いでしたが、何とか滑り込みで日本で唯一のパートナーサーバーとして落札できました。
── とても熱いストーリーですね!日本人サーバーを取りたかったのは理由があったのでしょうか?
元々onchanとかがやりたいっていう理由は、今までサーバー運営できるものが無かった点があります。また、MMORPGは韓国とか中国とか他の国が本当に強かったのですが、1個サーバーを作って日本人プレイヤーを多く呼ぶことで、団結して他の国に勝っていくことができるのではと考えていた様子です。
ただ私としては、それよりレジェンドオブユミルの運営が日本でのマーケティングを開始しているのも横目に見ていて、自分に声かけてくれれば、もっとゲームを盛り上げられるのにと思ったことがきっかけですね。それなら実際にサーバーを落札して、自分の力でこのゲームを盛り上げようと、良い意味での反骨心を持ったことが理由かなと。結果、今回のISEKAIサーバーの落札と盛り上がりでレジェンドオブユミルの日本公式との会議も実現したので、今後新しい展開があるかもしれません。
── レジェンドオブユミルはどんな人にプレイしてほしいですか?
そうですね。私はリネージュ2レボリューションや黒い砂漠モバイルといったスマホのMMORPGをよくやっていて、それ以降のものは正直仮想通貨取引を始めてからあまり触れてないのですが、現在出ているものに劣らないクオリティなのでスマホのMMORPGをプレイしている方には是非プレイしてほしいです。さらに他のWeb3ゲームであまり勧められるものはないのですが、当時一緒にプレイしてた仲間たちにもプレイしてほしいとも思える作品です。
あとはWeb3ゲームはつまらないものと思っている人にも一度プレイしてみてほしいです。彼らを見返すほどの魅力があるゲームだと思っています。私も最近ドハマリしたWeb3ゲームはそこまでなかったんですけど、久しぶりにドハマリしてますし、本当にプレイしていない日がないですね。メンテ明けも待ち遠しいくらいです。また、レアドロップを引けると、結構な金額で売れたりして稼ぐチャンスも実際にあります。その点もよく考えられてるゲームだと思います。
ISEKAIサーバーの現状の課題
── ゲームローンチから1か月近くなりますが、ISEKAIサーバー運営した感想や今後の課題についてお聞かせください。
ISEKAIサーバーを落札した時は、想像以上の反応でした。Web3ゲームのサービス終了や下火なニュースがある状況の中で、ISEKAIサーバーを落札して、ゲーム運営者となったというツイートをしたら、実際プレイしたいという人が沢山出てきてくれて、25万とか30万インプくらいつきました。その後、職業診断やプレゼント企画などをISEKAIサーバー主導で行い、ISEKAIサーバーとレジェンドオブユミルの名前がリリース前から一気に広がっていったと感じています。
リリースされて実際プレイしてみると、本当に面白いゲームでした。そもそもGameFiが出た時、昔やってたMMORPGみたいなゲームをずっとやり続けながらお金も稼げるチャンスがある世界線が来たらいいなみたいに思ってたところの、ど真ん中をいくのがこのレジェンドオブユミルというゲームです。今は、私自身もプレイヤーとしてしっかり楽しんで課金もがっつりしています。
ISEKAIサーバーの運営については、ゲームに関しては現状かなりうまくいってるかなと感じています。リリース初日や2日目はなかなか入れなかったくらいの人気っぷりでしたね。SEKAIサーバーにおいては、Discord上でも会話ができるので知ってる人が多いっていう状況になっています。サーバー自体が一つのギルド・クランのような動きでファミリーに近い感じになっているからか、コミュニティ形成が上手くいっているのかなと感じています。
一方で、課題としては、特にPK(※)があるゲームなので、プレイスタイルの考え方というかサーバー内のやり方っていうところが、やっぱり国や人によって違うので、調整に少し苦労します。GMが調整役になる必要は必ずしもない範疇ですが、サーバー人口の維持・向上のためにもプレイヤー間のプレイスタイルの考え方の違いと、PKというゲームにある機能をどううまく盛り上げていけるかが、今後の運営としての課題の1つですね。
※PK:プレイヤーキルの略、プレイヤーが他のプレイヤーを倒すこと
もう1つ重要なのは、MMORPG自体、後から参加するのが難しいゲームです。時間軸的に後から始めると上位の方に行くのが困難です。その点は、課題として言われる部分かなと思っていますので、新規の方が増えるように施策を今後考えていきたいと思っています。
ISEKAIサーバーの今後の展望
── ISEKAIサーバー今後の展開やどのようにしていきたいかのお考えをお聞かせください。
このゲームのサーバー運営は6ヶ月単位なんです。6ヶ月後にどのような状態になっているかわからないんですけども、それまでにたくさんサーバー対戦だったり、いろんなサーバーとマッチして戦っていこうと思っています。
やはりこのISEKAIサーバーで一緒に戦ってる仲間が増えて交流して、ゲームに定着してもらいつつ、他のゲームもやるような仲間を作ってもらえるような場になればいいと思っています。あとは、ユミルカップといった最終的に香港で開催される対戦大会に行けるレベルになったら面白いですね。ただ、世界にはかなりの強豪がいるので、厳しい戦いになるとは思いますが。
そして、今後サーバー移動が始まるとと思っているので、今TOKYOサーバーでプレイされている方とか他のサーバーでプレイされている方が、ISEKAIサーバーに興味があれば来てもらえるような魅力的なサーバーを作っていけたら良いと考えています。
ISEKAIサーバーのようなパートナーサーバーにおいては、定期的にホットタイムというバフタイムを運営側で設定したり、ボスを召喚して開催したりとか独自のイベントも数多くあります。これからも随時開催していったり、新しいコンテンツにもどんどん挑戦していったりして盛り上げていきたいですね。我々含めたプレイヤーにとって、楽しめる環境を今後も作っていきたいです。
あとゲームに関して1つだけ言うと、課金してる方がもちろん強いのですが、一人が一騎当千になるものではなく、人数の力で格上を倒すこともできるバランスです。課金単価も比較的抑えめで、他のソシャゲ系MMORPGよりは比較的プレイしやすいはずです。誰でも参加すれば貢献できるようなゲームにはなってますし、それぞれが楽しさを見つけやすいゲームだとは思っています。
── 最後にJinaCoinの読者に向けて熱いメッセージをお願いします。
私は、これまで様々なWe2ゲームやWeb3ゲームをプレイしてきましたが、レジェンドオブユミルは正直言って最高傑作と言ってもよいと思っています。もし、過去Web3ゲームをいろいろ触ってきた人であれば一度はプレイしてみてほしいです。
まずはレジェンドオブユミルのグラフィックに感動してほしいです。PCではじめるとグラフィックがかなり良いので。もしWeb3ゲームを知らない人でもこのゲームは基本無料で気軽にプレイできるのでやってみてほしいですね。 MMORPGをプレイしていた人、今までプレイしていなかった人も含めてですね。とにかくまずプレイしてみてほしいです。その時は是非、ISEKAIサーバーを選択してください!
強く言いたいのはこれまでのWeb3ゲームの常識を覆すほどのゲームの出来になっているという点です。だからこそ、上位陣は高額課金しているので、経済が回っています。コレクション要素や装備強化要素の仕組みにより、本当に経済が回ってるので稼げるチャンスも確実にあると思います。
本当に面白いゲームで遊びながら、ちょっとでもいいから稼ぐ体験をしてみたいという人もやってみてもいいと思います。稼ぎ無しでも十分に楽しめるゲームです。むしろ私は稼ぎ度外視で強さを求めて今はプレイしているくらいです。本当にまずはプレイしてみてください!
おわりに
レジェンドオブユミルのサーバーを買い取った一人であるLUCIAN氏にお話を伺いました。
ISEKAIサーバー落札までの熱いストーリーは伺っていてとてもワクワクしたのを鮮明に覚えています。ゲーム性や稼ぎという点においても非常に魅力的なWeb3ゲームなのが伝わってきました。Web3ゲームの歴が長いLUCIAN氏も毎日のようにプレイしており、筆者自身もプレイしていてとても面白いゲームなので、気になった方は是非プレイしてみてくださいね。
レジェンドオブユミル公式X:https://x.com/LegendofYMIR_JP
<LUCIAN氏プロフィール>
日本を拠点に活動するWeb3コンテンツクリエイター。X(旧Twitter)ではフォロワー95,000人を超え、Web3ゲーム、NFT、DeFi、オンチェーンゲーム領域を中心に情報発信を行う。2023年に、オープン参加型コミュニティ「OtakuLabs」を共同創設。以降、週1回ペースでAMA(質問会)を主催し、年間40〜50件にわたり、国内外のWeb3プロジェクトとユーザーをつなぐ場を提供。
Web3以前は、信託銀行の資産運用部門やiOSアプリ開発者としての実務経験に加え、MMORPGでのギルド運営などにも携わる。「金融 × テック × ゲーム」の交差点に自然と身を置いてきたバックグラウンドを活かし、現在は複数のWeb3企業にてアドバイザーや壁打ち役としても活動中。
LUCIAN氏公式X:https://x.com/lucianlampdefi
OtakuLabs公式X:https://x.com/OtakuLabs_xyz



