米暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)は19日、米証券取引委員会(SEC)に対し、新規株式公開(IPO)に向けた登録申請書「フォームS-1」を提出したと発表した。
200億ドル評価で8億ドル調達した直後の申請、詳細は非公開
今回のIPO申請は、クラーケンが新たに200億ドル(約3.1兆円)の評価額で8億ドル(約1,253億円)の資金調達が完了した直後の動きだ。申請書類は非公開提出のため、現時点では上場時期、発行株式数、価格帯などの具体的詳細は明らかにされていない。
資金調達の主要ラウンドは、ジェーン・ストリート、DRWベンチャーキャピタル、HSG、オッペンハイマー・オルタナティブ・インベストメント・マネジメント、トライブ・キャピタルなどの機関投資家が主導した。加えて、シタデル・セキュリティーズが200億ドル評価で2億ドルの戦略的投資を実行している。
2011年に設立されたクラーケンは、暗号資産取引所の中でも最も長い歴史を持つ企業の一つだ。450種類以上のデジタル資産に加え、米国先物、米国上場株式、ETFなどの伝統的資産も取引可能で、スポット取引、デリバティブ、株式、トークン化資産、ステーキング、決済まで幅広いサービスを提供している。
今回の申請は、暗号資産関連企業のIPO活動が活発化している時期に行われた。今年に入り、暗号資産取引所のブリッシュやジェミナイ、ステーブルコイン「USDC」発行元のサークルが相次いで上場した。
また、暗号資産特化型資産運用会社のグレースケールも今月初旬、ニューヨーク証券取引所への上場を正式決定している。クラーケンの動きは、業界全体の株式市場参入トレンドに沿ったものといえる。
クラーケンによれば、2024年の収益は15億ドル、2025年は第3四半期までにそれを上回る業績を達成している。同社は今回の資金を活用し、中南米、アジア太平洋、EMEA地域への展開加速、商品ラインナップ拡充、M&Aを通じた事業拡大を進める方針だ。
クラーケンの動きは、業界全体の株式市場参入トレンドに沿ったものといえる。暗号資産インフラ企業の上場が相次いでおり、業界の成熟化を示す動きとして市場の注目を集めている。
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