国内大手運用会社6社が暗号資産(仮想通貨)を組み入れた投資信託の開発を検討していることが18日、わかった。金融庁が2026年の金融商品取引法改正で暗号資産の投信組み入れを解禁する方向で調整していることを受けた動きだ。日本経済新聞が主要運用会社10社を対象に実施した調査で明らかになった。
投信組み入れ解禁へ
現行の投資信託法では、暗号資産を投信の組み入れ対象とすることができない。金融庁は暗号資産を資金決済法から金商法の規制対象に移行させる方針で、2026年の通常国会での法改正を目指す。
金商法改正による規制強化を前提に、金融庁は暗号資産の売却益にかかる税率を現行の最大55%(総合課税)から20%(金融所得課税)に変更するよう要望している。税制改正が実現すれば、投信法の政令改正により暗号資産の投信組み入れを認める方向だ。
関連:金融庁、暗号資産を「金融商品」扱いへ──105銘柄を対象に規制見直し
各社の取り組み
日本経済新聞の調査によると、商品化を検討しているのは野村アセットマネジメント、大和アセットマネジメント、アセットマネジメントOne、アモーヴァアセットマネジメント、三菱UFJアセットマネジメント、SBIグローバルアセットマネジメントの6社。
同調査によると、SBIグローバルアセットはビットコインやイーサリアムを対象としたETF(上場投資信託)の投入を計画している。設定から3年後に運用資産残高5兆円を目標に掲げ、10月に子会社化した暗号資産情報サイト運営のコインポストと連携して独自指数の開発を進める方針だ。
関連:SBI、リップルと提携しステーブルコインRLUSDを日本で展開へ──同日コインポスト買収も発表
野村アセットは2024年度にタスクフォースを設置し、規制改正後の早期商品投入を目指している。大和アセットはグループのETF専門運用会社グローバルXジャパンと共同で商品戦略を検討する。
市場規模と課題
米国ではブラックロックのビットコインETFが9月末時点で約900億ドル(約14兆円)の資産残高に達した。日本国内の暗号資産口座数は約1,300万口座に上る。投信解禁により証券口座からの購入が可能になれば、利便性が向上する見通しだ。
一方で、基準価格算出に使用する指標の選定、暗号資産の迅速な調達体制、ブロックチェーン上の資産流出に対するセキュリティ対策など、実務上の課題も残されている。
モーニングスター・ジャパンの元利大輔マネジャー・リサーチ部長は「ビットコインの値動きは株式・債券、金と比べても桁違いに大きい」と指摘し、投資先の一部にとどめる配慮が必要との見方を示した。




