暗号資産脱税でインドが大規模捜査、バイナンス利用者400人超が対象

shoko-koyama
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インドの税務当局が世界最大の暗号資産取引所バイナンスを利用する400人超の富裕層投資家を脱税容疑で捜査していることが、エコノミック・タイムズの報道で明らかになった。2022-23年度から2024-25年度にかけて暗号資産取引による利益を隠蔽した疑いがある。

海外取引所利用で税逃れ図るも当局が追跡

中央直接税委員会(CBDT)は各都市の所得税調査部門に対し、10月17日までに対応状況を報告するよう内部通達を発出した。多くの富裕層トレーダーが海外プラットフォームのバイナンスを利用していたのは、暗号資産利益への重税を逃れられると誤解していたためとされる。

インドでは暗号資産売却時に1%の源泉徴収税に加え、利益に対して33%から38%、旧税制では最大42%の税率が適用される。多くの投資家は海外取引所のウォレットに保有するデジタル資産を申告せず、税務署の目を逃れようとしていた。

ムンバイの公認会計士シッダールト・バンワット氏は「税務当局は納税者が適切な申告を行っているか確認するため召喚状を発行する権限を持つ。積極的な姿勢で所得を報告しなかった場合、追加税負担で修正申告する選択肢が残されている」と述べた。

複層的取引とP2P決済も監視対象

インドの投資家は米ドル連動のステーブルコインUSDTを購入し、ブロックチェーンネットワークを通じてバイナンスのウォレットに送金、その後ビットコインに交換するなど複層的な取引を行っていた。多くの場合、暗号資産は他の通貨と交換されるだけで現金化されないため、悪質な投資家は税務のグレーゾーンを悪用していた。

また、インド準備銀行の自由送金制度(LRS)を利用して年間25万ドルまでの海外投資枠を使い、海外銀行口座経由で取引を行うケースもあった。多くの銀行が顧客に暗号資産投資を行わないという誓約書の提出を求めているにもかかわらず、投資家は資金の最終用途を開示していなかった。

税務当局はバイナンス上のピアツーピア(P2P)取引も調査対象としている。P2P取引では国内の売り手と買い手をマッチさせ、国内銀行口座やG-payを通じて決済が行われていた。

規制強化で「匿名性のベール」剥がれる

会計事務所アシシュ・カルンディア&カンパニーの創設者アシシュ・カルンディア氏は「かつて仮想デジタル資産を覆っていた匿名性のベールが剥がれつつある。暗号資産取引所からの取引データが包括的なコンプライアンス枠組みに組み込まれ、税務当局は不一致を特定し、未申告所得を追跡する能力を向上させている」と指摘した。

バイナンスがインドの金融情報機関(FIU)に報告実体として登録したことで、インド政府との情報共有の道筋が築かれた。これにより投資家が「取引は発覚しない」と考えていた前提が崩れることになった。

暗号資産が捜査手続きにおける「未開示所得」の範囲に含まれ、所得税法第56条(2)(x)項で「財産」として分類されたことは、規制当局の確固たる方針転換を示している。適切な申告を怠った場合、再評価や精査の対象となり、270A条に基づく罰則が科される可能性がある。

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仮想通貨歴5年。ニュース記者歴3年。常に仮想通貨ニュースを追う。情報ソースを追究し正しい情報をわかりやすく伝えることに努めている。仮想通貨は下落するたび買い増すタイプで、主にステーキングで資産運用中。
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