金融庁は9日、暗号資産(仮想通貨)交換業者を含む金融機関等に対し、オンラインでの本人確認で、運転免許証などの画像を送る方式から、ICチップの情報を読み取る方式へ早期に移行するよう要請した。本人確認書類の画像を含む顧客情報の漏えいが相次いでいることを受けた対応である。JinaCoinが国内の主要な暗号資産取引所9社の公式サイトを確認したところ、8社で書類の画像を提出する方式が残っていた。
要請は次の3点からなる。
- 内閣官房国家サイバー統括室の9日の注意喚起などを踏まえ、外部委託先のリスク管理やインシデント対応を含むサイバー対策を点検する
- 非対面の本人確認で、書類の画像や顔の画像に不自然な点がないか改めて確認する
- 犯罪収益移転防止法の施行規則の改正で2027年4月1日に廃止される、書類の画像を送る方式から、施行日を待たずにできるだけ早くICチップ読取方式へ移行する
暗号資産交換業者は、犯罪収益移転防止法で口座開設時などの本人確認を義務づけられた特定事業者にあたる。施行規則の改正は、取引所の口座開設の本人確認にも及ぶ。
国内の暗号資産取引所、9社中8社に書類の画像を提出する方式
JinaCoinは10日までに、国内の主要な暗号資産取引所9社について、口座開設の本人確認の方法を各社の公式サイトで確認した。
| 取引所 | ICチップ読取の方式 | 書類の画像を提出する方式 |
|---|---|---|
| コインチェック | かざして本人確認(マイナンバーカード) | 写真で本人確認(書類と顔を撮影) |
| bitFlyer | 本人確認方法のFAQに記載なし | クイック本人確認(書類と顔の写真・動画を撮影) |
| ビットバンク | サクッと本人確認(マイナンバーカード、運転免許証をかざす) | サクッと本人確認の撮影、郵送で本人確認(撮影した書類の画像をアップロード) |
| GMOコイン | アプリでかんたん本人確認 | ウェブでかんたん本人確認(撮影)、画像アップロード |
| SBI VCトレード | マイナンバーで口座開設(アプリ) | スマホでかんたん本人確認(書類の画像をアップロード) |
| 楽天ウォレット | マイナンバーカード方式 | なし(もう一つの方法は楽天銀行連携方式) |
| メルカリ(メルコイン) | マイナンバーカードの読取、Appleウォレット | 書類と顔を撮影する方式 |
| バイナンス・ジャパン | マイナンバーカード(日本国籍の人) | 書類の3面と顔を撮影 |
| BitTrade | マイナ認証 | 本人認証(書類をアップロードし、ハガキを受け取る) |
各社の公式サイト(FAQ、口座開設ガイド、コラム)をもとにJinaCoinが作成(10月9〜10日確認)。メルカリはメルカリの本人確認のヘルプページ
マイナンバーカードなどのICチップ読取は、公式サイトで8社の導入を確認できた。bitFlyerの本人確認方法のFAQは、スマートフォンで書類と顔を撮影する「クイック本人確認」と、配達員に書類を見せる「対面での本人確認」の2つを案内している。
一方で、書類の画像を使う方式も多くの取引所に残る。コインチェックの「写真で本人確認」は旧「かんたん本人確認」の名称を変えたもので、マイナンバーカードの暗証番号が分からない人も使える。ビットバンクも、ICチップ読取とあわせて、書類の原本を撮影して提出する方式を案内している。
9社のうち、書類の画像を提出する方式が見当たらなかったのは楽天ウォレットだけだった。同社が9月11日に公開したコラムは、本人確認の方法をマイナンバーカード方式と楽天銀行連携方式の2つとしている。
携帯電話の契約では、同様の画像を送る方式が2026年4月1日に先行して廃止された。暗号資産取引所などの金融機関等では、2027年4月1日に廃止される予定だ。
出典:コインチェック、bitFlyer、ビットバンク、GMOコイン、SBI VCトレード、楽天ウォレット、メルカリ、バイナンス・ジャパン、BitTradeの各社公式サイト
