フランス国民議会(下院)の財政委員会は7日、暗号資産(仮想通貨)からステーブルコインへの交換を課税対象とする2027年予算法案の修正案を可決した。対象はEUの暗号資産市場規則(MiCA)が定める電子マネートークン(EMT)で、交換の時点で既存の一律課税を適用する。修正案は新たな税率を設けるものではない。同委員会は9日に予算法案の歳入部分そのものを否決しており、修正案は本会議で改めて採決される必要がある。
フランスのステーブルコイン課税案、MiCAの電子マネートークンへの交換が対象
修正案I-CF1826は、民主共和左派(GDR)グループのニコラ・サンシュ議員らが提出した。個人の暗号資産の譲渡益課税を定める一般租税法典第150 VH bis条を改正する内容だ。
現行の同条は、差額の現金精算を伴わない暗号資産どうしの交換について、課税を繰り延べている。課税されるのは、法定通貨に換えた時点や、商品・サービスの購入に使った時点だ。修正案は、交換で受け取る側がEMTである場合、この繰り延べを適用しないとした。
交換で受け取ったEMTの取得価格は、交換時に損益の計算に使った価額を基準とする規定も設けた。仏メディアによると、適用は2027年1月1日以降の交換で、税率は既存の一律課税の31.4%となる。
修正案の提案理由で議員らは、法定通貨への換金は課税されるのに、ステーブルコインへの交換は正当な理由なく繰り延べられていると指摘している。
対象の範囲は、MiCA(規則(EU)2023/1114)第3条1項7号の定義で決まる。同号はEMTを、1つの法定通貨の価値を参照して価値の安定を図る暗号資産と定めており、MiCA上の認可を受けているかどうかは定義の要件になっていない。
一部の海外報道は、USDTやDAIへの交換は対象外になると伝えている。
予算法案の歳入部分は委員会で否決、本会議は政府原案から審議
仏税務専門サイトのLégifiscalによると、財政委員会は9日、予算法案の第1部(歳入)を反対31、賛成3、棄権2で否決した。委員会での修正案の可決(7日)も、仏メディアの報道による。
フランス憲法第42条により、予算法案の本会議審議は、委員会の修正を反映した案ではなく政府の原案をもとに行われる。委員会で可決された修正案が法案に入るには、本会議用に提出し直し、改めて可決される必要がある。その後には上院(元老院)の審議も控える。
仏メディアによると、本会議での歳入部分の審議は13日に始まり、採決は20日に予定されている。
日本では暗号資産どうしの交換も課税、USDCは電子決済手段
日本の課税の仕組みは、フランスの現行制度と異なる。国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」は、暗号資産どうしを交換した場合も、交換の時点で所得の計算が必要になるとしている(FAQ 1-3)。
同FAQによると、暗号資産の所得は原則として雑所得に区分され、ほかの所得と合算して課税される。
USDCは国内では、資金決済法上の暗号資産ではなく電子決済手段にあたる。SBI VCトレードは2025年3月4日に電子決済手段等取引業者として登録を受け(関東財務局長第00001号)、金融庁の登録一覧には取り扱う電子決済手段としてUSDCが記載されている。
税率については、令和8年度税制改正大綱が、国内の登録業者を通じた特定暗号資産の取引に20%の申告分離課税を導入する方針を示した。
