ビットコイン・主要アルトコインは週を通して、ファンダメンタルズの影響による乱高下を繰り返した。一方、DePIN・プライバシー関連の中堅銘柄は目覚ましいパフォーマンスを見せている。来週の大きなイベントまで、市場の膠着状態は続きそうだ。
BTCはトランプ氏に翻弄され乱高下──CPI下振れも方向感定まらず

ビットコインは今週初め、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席との会談実現への期待や、米連邦準備制度理事会(FRB)主催のPayments Innovation Conference(決済イノベーション会議)で、仮想通貨市場にとってポジティブな議論が行われたことが好感され、10万7,000ドル台から一時11万3,000ドルまで上昇。
しかし22日、トランプ大統領による会議のキャンセルを匂わせる発言で再び10万7,000付近まで急落。しかしその後、予定通り会議が行われる見通しが発表され価格は再度反転。振り返れば、トランプ氏の言動に翻弄され、乱高下を繰り返した週だった。
また、日本時間24日21:30に発表された米消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.1%増という予想に対して結果が3.0%増と、若干のインフレ鈍化が示されたことで追加利下げ期待が高まり、ビットコインは一時鋭く上昇。しかし、ダウントレンドラインの影響による売り圧に阻まれ、現在形成する三角保ち合いに価格が戻された。
伸び悩んだ要因としては、直前の上昇ですでにCPI下ぶれ期待がある程度織り込まれていたこと、そしてそもそも予想がかなり高い値だったため、わずかに下ぶれたとしてもインフレが加速している事実に変わりはないことから、さらに高値を目指せるほどのインパクトにはつながらなかったことなどが考えられる。

ビットコイン現物ETFは、今週前半こそ4億7,720ドル(約729億円)の大規模な純流入があったものの、その後は流出入が拮抗。機関投資家も今後の方向感を決めかねている印象だ。
ヒドゥンロード買収決定でXRP躍進 中堅アルトも活況


主要アルトコインもビットコイン同様乱高下の激しい1週間だったが、そんな中でXRPは24日以降非常に強い値動きを見せている。リップル社が24日、世界で急成長している非銀行系プライム・ブローカーの1つ「Hidden Road(ヒドゥン・ロード)」を正式に買収することを発表したことが、市場に好感されたとみられる。
また、中堅銘柄ではDePIN・プライベートコイン銘柄の高騰が目立っている。

DePIN銘柄のXPINは週を通して力強い値動きを見せ、週初めから約200%の大幅上昇。

プライバシー保護をテーマにしたデジタルIDソリューション「ヒューマニティ・プロトコル」の独自トークン「H」は週半ばから非常に強い値動きを見せ、約209%の高騰。
ここ最近は特にAI・DePIN・プライバシー関連銘柄の高騰が目立っている。
来週はFOMC政策金利発表・米中首脳会談が最大の焦点
来週は、29日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)による米政策金利発表に注目が集まる。

とはいえ、市場はすでに年内3回の利下げ(計0.75%)を8割以上織り込んでいるため、トレンド転換のきっかけとなるには、投資家の予想を上回る大幅な利下げなどのインパクトが必要になるかもしれない。
また30日に予定されている、米中首脳会談にも市場は期待を寄せているが、両国の関係は依然一触即発。会談をきっかけに両国間の緊張がさらに高まり、リスクオフのムードが強まる展開も考えられる。29日、30日は非常に難しい相場になることが予想されるので、ハイレバレッジなどリスクの高いトレードは避けるべき局面だ。
来週中盤に控えている2大イベントまで、仮想通貨市場は方向感の乏しい展開が続きそうだ。主要銘柄のトレンドが定まるまで、現在活況を呈しているAI・DePIN・プライバシー関連の有望銘柄に目を向けてみるのも一つの選択肢と言える。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=152.78円)




