今週は仮想通貨市場が全体的に終始弱含み。特にビットコイン・XRPは直近の安値を割り込んでおり、さらなる下落が懸念される。マクロ環境も悪化しており悲観ムードは拡大しつつあるが、一方オンチェーンデータでは弱気相場のピークを示唆する動きもみられた。
BTCは4日連続陰線 重要サポート割れで投資家心理はさらに悪化

ビットコインは今週火曜から金曜まで4日連続で陰線。さらに10万7,000ドルのサポートラインを割ったことで日足レベルのダブルトップが完成。
サポートラインより下で週足が確定すれば、市場心理のさらなる悪化につながるだろう。現在は10万7,000ドルを試す動きが見られるが、上抜けに失敗した場合はさらなる下落が予想される。

ヒートマップを見ると、10万4,000ドル付近の大きな流動性クラスターが形成されており、この価格帯が直近のサポートとして機能しそうだ。ただ、そこから下は板が薄いため、サポートをブレイクした際は10万ドル付近まで急落する恐れもある。
ETHは直近安値付近で下げ止まりも、XRPは下落トレンドを継続

アルトコインも主要銘柄のほとんどが4日連続陰線。ただ、イーサリアムはローソク足実体ベースで直近安値よりも上の価格帯を維持しているため、投資家心理はそこまで悲観に傾いてはいない。週足ベースでしっかり底固めできるかどうかが、来週の展開を左右するカギになるだろう。

一方XRPは日足ローソク足実体レベルで直近安値をブレイクしたため、下落トレンドの継続が意識される。仮に上昇しても、ダウントレンドライン付近では強い売り圧にさらされる可能性が高い。目下はダウントレンドラインをブレイクし、市場心理をニュートラルに持っていけるかどうかがカギとなる。
オンチェーンデータは弱気相場のピークを示唆
オンチェーンデータ分析プラットフォーム「クリプトクオント」は18日、先物ポジションの変動が2025年の最低水準に達し、市場が極度の「恐怖状態」にあると分析。このデータは「売りの枯渇」と「マクロ市場が底値圏に達した可能性」を示唆するとのこと。
また、同社のアナリスト「フリオ・モレーロ」氏の分析によると、中央集権取引所へのアルトコインの送金回数が年初来最高水準に到達。このデータも売り圧のピークを示しており、相場が転換期を迎えている可能性を示唆している。
とはいえマクロ環境としては未だに悲観ムードが強いので、今後の強気相場回帰を期待しつつも冷静に方向性を見極めていこう。
トランプ氏姿勢軟化も、米銀行信用問題などでリスクオフは継続
今週は米中の関税問題、ロシア・ウクライナ情勢の悪化、G20金融安定理事会(FSB)による仮想通貨規制強化の要請など、米銀行の信用不安などネガティブなマクロ要因が多発し、仮想通貨を含めたリスク市場には悲観ムードが拡大した。
そんな中米大統領ドナルド・トランプ氏は日本時間17日夜フォックス・ビジネスのインタビューに対し「中国製品に100%の追加関税を課すという提案は持続可能ではない」と述べ、中国に対する姿勢軟化を示唆。この報道を受け、仮想通貨市場は一時反発した。
しかし、JP・モルガン CEO ジェイミー・ダイモン氏による「金融市場にはまだ多くのゴキブリがいる」という発言が未だにリスク市場の重しとなっている。
この言葉には、米地域銀行ザイオンズ・バンコーポレーションが起こした5,000万ドル(約75億2,000万円)の貸し倒れや、自動車部品大手ファースト・ブランズ社が突如破綻した件を受け「市場にはまだまだリスクが隠れている」という意味が込められており、投資家の不安感を煽る結果に。
一度植え付けられた不安は1日、2日で拭えるものではない。投資家たちも当面はリスク市場に対して慎重にならざるを得ないだろう。
今後の展開としては
- 近日予定されているトランプ氏とロシア大統領ウラジミール・プーチン氏によるハンガリーでの対談
- 米中関税問題の動向
- 来週金曜(24日)に発表予定の消費者物価指数(CPI)
が市場の行く末を大きく左右しそうだ。
今週の仮想通貨市場には、一貫して悲観ムードが漂っている。オンチェーンデータ上では売り圧のピークが示唆されているものの、ファンダメンタルズ面ではまだまだ不安が山積み。しばらくは方向感を固定したトレードを避け、慎重に立ち回る局面といえる。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.42円)