ビットコインは日本時間7日に12万6,000ドルを突破し最高値を更新後、一転して弱気な値動きを継続。そして10日から11日にかけて約17%の大幅下落を見せるなど、非常にボラティリティの高い1週間となった。また、アルトコインは一貫してビットコインよりも弱く、週末の下げ幅も銘柄によっては50%を超え、かなり悲観的な空気に包まれている。現在はやや持ち直してはいるが、まだ不確定要素やマイナス材料が複数あり、もう一段の下落もあり得る状況だ。
BTC最高値更新後の急落で10万ドルを試すが強いサポートを受け反発

ビットコインは今週前半こそ高値を維持できていたが、日本時間10日23時ころから下落の勢いが強まった。
その後トランプ氏がTruth Socialに「米国は中国に対し現在課している関税に加え100%の関税を課す」という内容を含めた投稿をアップしたことに反応し、11日午前6時ころからさらに急落。12万5,000ドルから10万2,000ドル付近まで、実に約17%という大幅下落となった。
しかし、10万ドル付近は多くの投資家が注目しているサポートゾーンということもあり、大きく反発。現在は11万2,000ドル台で推移している。チャートの形状的には上昇トレンドが崩れたように見えるが、心理的な節目である10万ドルを明確に割れるまではまだ下落トレンド入りとは言えないため、現在は方向感がつかみにくい状況だ。
XRPは50%強の暴落もETHはポジティブ材料多く20%で下げ止まり

アルトコインは1週間を通して全体的に弱い値動き。そして週末にはビットコイン同様、トランプショックの影響で大きな下落に見舞われた。中でもXRPは10日の高値から約55%と、数年に1回レベルの大暴落。背景としては「Ripple(リップル)」社と国際送金ネットワーク大手「SWIFT(スイフト)」社の対立や、銀行ライセンス承認却下への懸念などが下落幅に影響していると考えられる。

一方、イーサリアムは下落幅が約20%に留まり相対的に堅調さを見せている。イーサリアム2.0のステーキング報酬率が安定して機関投資家の長期保有需要が拡大していることや、分散型取引所(DEX)での取引高が史上最高水準を記録するなど、ファンダメンタルズ面でのポジティブ材料が豊富な点が下落局面での底堅さにつながったと分析される。
高まる不確実性 来週はアルトコインETF承認・重要指標の発表が鍵を握る
今週序盤は米政府閉鎖や利下げ期待によるドル円の下落により、仮想通貨市場に資金が流入し活況を呈した。しかし高市早苗自民党新総裁による「アベノミクス路線継承」表明によりドル円に資金が逆流したことで、流れは一転し上値が重い展開へ。さらにウクライナ・ロシアやイスラエル・イランの情勢悪化、関税戦争の再燃などによる不確実性の高まりから、リスクオフの流れがさらに強まった。
上昇の燃料となる材料にも乏しく、全体的に上値の重い展開が続きそうだが、来週水曜に発表予定の9月消費者物価指数(CPI)の結果によって米政策金利引き下げへの期待が高まり、市場の流れが変わる可能性もある。ただ、米政府閉鎖が継続するならばCPIの発表も延期される見込みなため、過度な期待はできない。
また、11月14日にはXRPやソラナの現物ETFがフランクリン・テンプルトン社の承認期限を迎える。世界最大級の資産運用会社による申請のため、市場からの注目度は高い。
現物ETFの承認が実現すれば市場心理が多少改善される可能性はあるが、下落トレンドが継続していれば、たとえ価格上昇したとしても一時的なものになりやすい点には注意しておこう。地政学リスク・関税戦争などのマクロ要因に改善が見られれば、現物ETF承認によるトレンド転換も期待できるだろう。
来週の仮想通貨市場は、チャート的にも材料的にもかなり買いづらい展開が予想される。ただ、これまでも不確実性の解消により突如大きなトレンド転換を起こした例が多々あるので、ビットコインに関しては10万ドルの節目を明確に割り込むまでは強気目線で買い場を探していきたいところだ。
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