米暗号資産(仮想通貨)取引所Coinbase(コインベース)は17日、米財務省が実施する「デジタル資産に関する不正活動検出の革新的手法」についての意見募集に対し、API・AI・分散型ID・ブロックチェーン技術の活用を促進する規制整備を求める包括的な提言書を提出した。
コインベースは、暗号資産エコシステムにおける最大の不正金融リスクは「技術そのものではなく、犯罪者が暗号資産を現金化できる弱点──規制の緩い海外の非準拠事業者が管轄権の抜け穴を悪用していること」と指摘。取締り強化と並行して、時代遅れとなった銀行秘密法(BSA)の現代化を訴えた。
API・AI活用で「セーフハーバー」規定を要請
コインベースは4つの主要技術について具体的な規制変更を要請している。API活用については、金融機関がマネーロンダリング対策(AML)・テロ資金供与対策(CFT)にAPIを適切に使用した場合のBSAセーフハーバー規定の創設を提案。AI活用についても同様のセーフハーバー規定を求め、「AIはAML/CFT分野を革命的に変える技術だが、米国企業は規制の不透明さから完全な活用をためらっている」と指摘した。
分散型ID(DiD)とゼロ知識証明(ZK Proofs)については、FinCEN規則を改正し本人確認手段として正式に認めるよう要請。現行のKYC要件は「何十もの金融機関に個人情報を共有させ、企業は何年もデータを保管しなければならず、犯罪者の標的となる蜜の壺を作り出している」と批判した。
ブロックチェーン技術については、KYT(Know Your Transaction)スクリーニングとブロックチェーン分析クラスタリングを、従来の金融より効果的なAML/CFTコンプライアンス手段として明示的に認め奨励する監督ガイダンスの発行を要請している。
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