米商品先物取引委員会(CFTC)は27日、市場監視と不正検出能力の強化のため、「Nasdaq(ナスダック)」の監視技術プラットフォームを導入したと発表した。
不正取引監視を強化、投資家保護を目指す
この動きは、暗号資産(仮想通貨)市場を含むデリバティブ市場全体での不正防止を目指す動きで、特に仮想通貨市場の急速な拡大に対応するためのものだ。
本件は、CFTCのキャロライン・D・ファム委員長代行が今年3月に表明した、市場監視システムの刷新計画の一環として実行された。従来、CFTCは1990年代から使われてきた旧式のシステムに依存しており、市場の多様化や技術革新に対応しきれていないという課題を抱えていた。今回のプラットフォーム導入は、その旧式システムを刷新するもので、CFTCが21世紀型の規制機関へと変革を遂げるための重要な一歩と位置づけられている。
ナスダックの「Market Surveillance(マーケット・サーベイランス)」プラットフォームは、世界中の50以上の取引所と20の規制当局で使われている実績のある技術。このシステムは、複数の資産クラスにまたがる不正の疑いがあるパターンをAIにより識別し、詳細な取引レベルの分析を実行する。また、自動アラート機能を備えており、通常とは異なる取引活動や市場の乱れを迅速に特定することが可能。これにより、CFTCの職員はより迅速に適切な行動をとることができ、効率的な市場管理が期待できる。
CFTCの監督対象は、従来の金融商品から仮想通貨に至るまで多岐にわたる。特に、仮想通貨市場については、ホワイトハウスの最近の報告書に基づいて「crypto sprint(仮想通貨スプリント)」計画を進めている。これは、仮想通貨市場の成長に対応し、市場の健全性を確保するためのもの。ナスダックのプラットフォームは、仮想通貨市場を含む「あらゆる市場を横断する統合的な監視」を売り物にしている。この技術導入により、CFTCは、絶え間なく進化する市場に対応し、不正行為を未然に防ぎ、健全かつ活発なデリバティブ市場を維持する基盤を構築したといえるだろう。
ファム委員長代行は、「市場が進化し、新しい技術を統合し続けるなかで、CFTCが時代を先取りすることが重要だ。このシステムは、CFTCの各部門に利益をもたらし、市場を不正や操作からよりよく保護するだろう」と述べている。この発言は、今回のシステム導入が単なる技術更新に留まらず、市場の健全性と投資家保護に対するCFTCの強い意志を示すものと受け止められる。CFTCが今後、仮想通貨市場においてどのような監視体制を敷き、不正行為にどのような対処を講じていくのか、市場関係者と投資家双方の注目が集まっている。
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