9月30日、米国政府の閉鎖が決定されたが、ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)ETFへの流入が継続。過去の例を見ても政府閉鎖リスクは事前に市場に織り込まれているため、今後も大きな影響はなさそうだ。また、BTCの月足が陽線で引けたことで市場に安心感が広まりつつあり、バブルの再開が期待されている。
米政府一時閉鎖でアルトコインは小幅安もBTCは堅調 雇用統計見送りで先行きは不透明
市場はアメリカの政局不安を睨んで様子見ムードだ。日本時間30日深夜、現行の予算が失効すると同時に、ボート行政管理予算局(OMB)長官は「政府閉鎖を余儀なくされる」と明言。第1次トランプ政権時の18年末から19年初め以来約7年ぶりの政府閉鎖が確定した。
この決定を受け、比較的堅調だったアルトコインは反落し、安値圏でレンジを形成。一方BTCは一時的に下落したもののすぐに堅調な値動きを取り戻している。
ただ、市場が注目していたADP雇用統計の発表が米政府閉鎖の影響で先送りされたため、今後の動きは不透明。無闇なレバレッジトレードは控えておこう。
過去2回の米政府閉鎖時は、解決後にリスク市場反発
今後の展開を、過去の米政府閉鎖とリスク市場の値動き、特に近年相関性が高まっている米国株を参考にしながら探っていこう。

直近では2018年12月22日〜2019年1月25日まで、史上最長35日間の米政府閉鎖が行われた。当時、S&P500は政府閉鎖直前に20%の急落を見せ市場には「弱気相場入り」という声が囁かれた。ただ、この時は政府閉鎖だけでなく世界的な景気懸念が重なっていたため、純粋に「閉鎖が原因で暴落」とは言い切れない。
また、閉鎖解除から一気に強気トレンドに転じ2020年のコロナショックまで上昇相場が継続した。

その前には2013年10月1日〜16日の16日間、オバマ政権下でも政府閉鎖が実施されている。この時は閉鎖直前にやや下落はしたものの、その後は大きく値を戻し、上昇トレンドを崩さなかった。
双方の例から見ても、米国株式市場はリスクをあらかじめ織り込んでおり、政府閉鎖の確定が値動きに与える影響はほとんど見られない。米国株と相関性があるBTCにも同じことが言えるだろう。もちろんその時の世界情勢やマクロ経済の動向で展開は変わるが、現時点で過度な心配をする必要はなさそうだ。
むしろ今後は政府閉鎖より金利の動向が焦点になるだろう。
BTCはETF流入も継続し値動きは堅調 9月リターンプラスで強気相場継続か
BTCのETFには29日に続き30日も約4億2,990万ドル(約632億円)の純流入。先週までの弱気な展開からの、大きな方向転換が伺える。

ETFの流入はBTCの価格にも反映されている。米国閉鎖懸念を受け、一時112,800ドル台までの下落は見せたものの、現在は114,000ドル台に回帰。その後も上値を維持しており、日足レベルの下降チャネル上限を目指す動きは変わらない。

また歴史的に見て9月はBTCにとって弱気な月だが、今年はプラス5.16%と好調。10月はほとんどの一年の中で最もリターン率の高い月として知られるが、9月がプラスで引けた年に限定すると、全ての年で大きな上昇を見せている。さらに、9月、10月をプラスで終えた年は、翌11月も全て上昇。この強気なデータから、BTCバブル再開への期待が高まっている。
ETHのETF流入は堅調もアルトコインは弱含み BTCドミナンスも上昇中

30日のアルトコイン市場は全体的に弱含み。ただSOLが直近高値から10%近い下落を見せたのに対し、ETHは3.74%と底堅い印象。
前日に続きETHのETFに1億2,750万ドル(約187.4億円)の純流入があった点も、価格を支えている大きな要因だ。

ただ、依然としてBTCドミナンスが上昇基調を継続しており、アルトコインからの資金流出が懸念される。BTCのターンがもう少し続きそうだが、逆に言えば弱気な相場状況だからこそ、長期目線での現物購入を検討するいいタイミングかもしれない。
米国政府の閉鎖に関しては過度に恐れる必要はないが、米国政策金利の動向次第で市場が荒れる可能性も。しかし、BTCの9月リターンがプラスで引けたことにより、バブル再開の期待も高まりつつある。とはいえ今のところは焦ってロングポジションをとる時期でもない。明確な上昇サイン、または乱高下の中でより優位性の高いエントリーポイントを探っていこう。
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